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「木質バイオマス発電をめぐる木材の需給状況に関する実態調査」の
結果に基づく通知に対する改善措置状況(フォローアップ)の概要

総務省は昨年7月に「木質バイオマス発電をめぐる木材の需給状況に関する実態調査」を農水省、経産省に対し通知。木質バイオマス発電をめぐる木材需給の実態を把握、その制度・政策の検討に資することを目的に、発電業者の稼働状況、新規参入による影響、都道府県の燃料調達計画に確認状況等を調査した。

この背景及び目的は、

  • ・木質バイオマスは、国土の約7割が森林である我が国にとって、豊富に存在する再生可能エネルギー源。
  • ・木質バイオマスエネルギー利用拡大は、①化石燃料からの転換による脱炭素化、②木材需要の拡大を通じた林業振興や地域活性化への波及効果が期待。

但し、木質バイオマス発電の拡大に伴う、木材の需要増加が既存の木材利用事業者の木材の安定調達を困難にするとの懸念があるためであった。

通知時に農水省、経産省に総務省が求めた主な対応は以下。

  • 1)木質バイオマス発電事業への参入希望者が作成する燃料調達計画について、都道府県が確認すべき内容等の具体化
  • 2)木質バイオマス発電事業への参入希望者等に対する情報提供の充実
  • 3)発電事業計画の認定時に、木材の調達範囲等に応じた環境負荷を考慮するよう検討するとともに、発電事業の適正な履行に向け、行政のチェック機能強化を検討

これを踏まえ、本年2月14日に改善措置状況(フォローアップ)の概要を公表、主な取組及びその効果は以下の通りである。

  • 1)燃料調達計画について都道府県が確認すべき点を具体化、
    → 参入希望者への審査がより的確化・精緻化
  • 2)林野庁ホームページ等に木材需給状況等の情報を掲載、
    → 参入希望者や既存の発電事業者が発電事業の持続可能性を自ら判断可能に
  • 3)木材の調達過程で生じる温室効果ガスの取扱いについて専門家会合で検討、
    → 温室効果ガスの発生見込みが少ない参入希望者のみ認可することで環境負荷が低減見込み
      発電設備の現地調査における指導・助言を強化
    → 発電事業計画の適正な履行の確保を推進

詳細は参考で紹介した総務省のプレスリリースをご覧いただきたいが、各項目における主な改善措置状況に対してのポイントなどを以下に抜粋。

  • ①燃料調達計画の確認の現状と課題(以下は都道府県及び発電業者からの意見)
    • ・参入希望者がより的確かつ精緻な審査を受けられるようになった。
    • ・共通の情報を基に審査を行うことで、関係都道府県間で審査の整合性が図られるようになった。
    • ・定期的な情報提供がなされることで、経験の浅い職員でも確実に情報を把握できるようになった。
  • ②木質バイオマス発電事業への参入希望者等に対する情報提供
    • ・資源エネルギ庁HPでも林野庁情報を紹介。
      例:木材需給の最新の動向、都道府県別の木質バイオマスの利用状況
      *参入希望者が木質バイオマスエネルギー利用動向調査等の情報を基に、参入可否を検討。発電業者がレポートを回覧、木材市場の動向把握など。
  • ③発電事業計画の認定時に、環境負荷の考慮とその履行の確保
    • ・バイオマス燃料の調達等の過程で生じた温室効果ガスの取扱いについて、令和2年度に、専門家によるワーキンググループを設置。3〜4年度は。ライフサイクルGHGについて検討。

以上

【参考】

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