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日経新聞記事「第4の革命・カーボンゼロ 大電化時代」

今月、5回シリーズでカーボンゼロに関する記事が日経新聞に連載されましたので、ご紹介します。マスコミ記事ですが、海外のカーボンゼロ事情を取り上げ、日本の状況を対比させています。

  • (1)3月1日: 緑の世界と黒い日本 「再生エネが最安」電源の主流に
  • (2)3月2日: 蓄電池、脱中国の攻防 安保握る戦略物資に
  • (3)3月3日: 新車すべてCO2ゼロ 「灰色のEV」克服、総力戦
  • (4)3月4日: 銀座の大家、電力会社に 「緑の発電」で経営革新
  • (5)3月5日: サウジからアンモニア 再生エネ輸入に熱視線

(1)海外の再エネコストに関して、オランダにおけるG E社の世界最大の風力タービン実証機を紹介。高さ260メートル、羽根は107メートル、1回転で1世帯の約2日分の電力を生むそうです。記事によると各国での一世帯が4ヶ月間に使う1000キロワット時の電気を作る場合、最も安い電源は
日本: 74ドル(石炭火力)、中国: 33ドル(太陽光)、米国: 36ドル(風力)
英国: 42ドル(風力)参考: 日本では太陽光、124ドル、風力、113ドル。
再エネが技術革新と規模拡大で太陽光は8割、陸上風力は4割安くなったとのこと。
また、英国では送電網が満杯になれば送電会社が再エネ事業者に補償金を払うが、日本は払わずに済むなどの違いもあります。

(2)中国青海省はレアメタル、リチウム生産量の世界シェア1割を占め、中国のリチウムイオン電池生産は世界の約7割。21世紀は石油に代わり、蓄電池がエネルギー安全保障の要となるそうです。アメリカでは中国を念頭に電池など重点4項目で供給網を見直す大統領令に署名、欧州も電池産業への補助金供与を認めました。
しかし、リチウムは採掘、精錬の過程で多くのCO2を排出する問題もあるそうです。

(3)見出しの「灰色のEV」とは単純にEVへの移行をするだけではなく、蓄電池の材料であるリチウム生産なども含め化石由来の電気で充電すれば社会全体のCO2は減らないという意味です。水素で走るFCVも含め全体のCO2排出を減らし、「灰色のEV」を「緑」に変える競争が始まります。

(4)銀座のビルを買収する「銀座の大家」と呼ばれる会社、ヒューリックが「緑の不動産会社」へ転身。2050年までに840億円を投じ、国内300ヶ所超で太陽光発電を設置、さらに150億円かけ十数ヶ所に小水力発電所も設置。50年に自社保有物件の消費電力を全て再エネで補い、余剰は売電も検討とのことです。「RE100」に参加、20年10月には環境債の一種「サステナビリティ・リンク・ボンド」を発行、25年までに自社分再エネが100%達成できなければ利率が上がる仕組みで、金融市場にもカーボンゼロをコミット。
しかしながら、日本ではこのような「緑の発電」に取り組む企業は少数派。一方、欧州は多くの企業が再エネで自家発電、余剰分はVPPなどを通じ国内外で融通しているそうです。
円高リスクを嫌って、生産拠点を海外に移した日本の製造業が今度は再エネコストの高さから国内立地を敬遠する動きを懸念しています。

(5)日本の国土での再エネは限界がある、輸入がカーボンゼロのカギを握るそうです。
燃焼してもCO2が出ないアンモニアを火力発電で燃焼実験をする。オーストラリアで再エネ由来のCO2を排出しないグリーン水素を作り、燃料電池車や水素発電に活用する。水素やアンモニアの国際争奪戦が始まり、日本も国を挙げた対応が迫れているとのこと。
再エネ比率向上には日本は地理的な制約があり、太陽光パネルを置ける土地面積はドイツの半分、洋上風力も適した海の面積は英国の1割強。地元との軋轢も懸念され、原油や天然ガスと同じく再エネもまた戦略的な海外調達の腕が問われる。
しかし、再エネを限界まで導入し、足りなければ海外に頼ると言う、輸入を再エネ不足の最後のピースにすることも求められるようです。

海外も含めた最新の再エネ事情を示唆してくれます。カーボンニュートラルを達成する可能性を持つ再エネ導入の強化にも様々な要因を検討しなければならないことを考えさせられました。

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