新エネルギー「最近の話題・キーワード」解説コーナ-新エネルギー「最近の話題・キーワード」解説コーナ-

「令和2年度エネルギーに関する年次報告書(エネルギー白書)」紹介

本年6月4日に「エネルギー白書」が閣議決定されました。

経済産業省の発表によりますと、白書は例年、3部構成。第1部はその年の動向を踏まえた分析、第2部は内外エネルギーデータ集、第3部は施策集となっています。

その年の動向を踏まえた分析をする第1部「エネルギーをめぐる状況と主な対策」で今年は以下の項目が紹介。

  • (1)福島復興の進捗
  • (2)2050年カーボンニュートラル実現に向けた課題と取組
  • (3)エネルギーセキュリティの変容

福島の復興については福島第一原発の事故から10年の節目、と捉え「原発の廃炉と福島の復興に全力を挙げる」と記載されています。

カーボンニュートラル実現に向けた課題と取組ではエネルギーをめぐる情勢の変化として、民間でも脱炭素化に向けた取り組みが加速と指摘。金融でESG投資の増加と投資戦略の多角化が、非金融ではRE100など自主的に脱炭素化を宣言する企業が増加、更にサプライチェーンの企業に対しても脱炭素化を求めるケースもあると記載しています。また、新型コロナの影響としてオンライン化による移動回避が永続的な影響になる可能性も挙げられています。

2050年カーボンニュートラル宣言に対しては、電力部門では非化石電源の拡大、非電力部門ではエネルギーの電化、電化しきらない熱の水素化、それでも残るCO2の回収・利活用を通じた脱炭素化を進めることが掲げられています。また、日本の産業・技術競争力を諸外国と比較をしています。

エネルギーセキュリティの変容では、エネルギーセキュリティの重点の変遷としてエネルギー自給率、化石燃料の安定供給確保、蓄電能力、サイバーセキュリティ対策他、9つの指標による外国比較を紹介。従来の定量評価では化石燃料の安定的な輸入に重点が置かれ、また不測の事態への対応力、レジリエンスを評価していました。今後は気候変動対策や再エネ大量導入などによるエネルギーを巡る環境が変化、評価対象を拡大しています。

現在の日本のエネルギー事情を知る基本的な資料として、また日本の立ち位置を知るばかりでなく、本文にあるコラムにも2020年カリフォルニア州の大規模停電など興味深い記事が掲載されているので、是非ご覧ください。

【参考】

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