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再エネの適正な導入について―FIT、FIP交付金の凍結などを提言―

経済産業省、農林水産省、国土交通省、環境省は、再エネ設備の導入から廃棄に至る事業実施の段階に応じた課題を整理するとともに、課題の解消に向けて関係省庁の取組に横串を通す形で議論を行い提言(案)として取りまとめた。

提言内容については、①土地開発前段階、②土地開発後~運転開始後・運転中段階、③廃止・廃棄段階及び横断的事項に関して、課題や課題の解消に向けて必要となる制度的対応や運用のあり方などについてとりまとめている。ここでは、制度的な対応に関してのポイントを紹介する。

(提言(案)の詳細は、7回 再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会2022.7.28 参照)

【土地開発前段階】

森林法や盛土規制法等の規制対象エリアの案件は、関係法令の許認可取得を再エネ特措法の申請要件とするなど、手続厳格化を検討。

(補足)急傾斜地や森林伐採等を伴う区域に太陽光発電設備を設置する場合など、災害の発生が懸念されるという声の高まりがある。このため関係法令の許認可取得を再エネ特措法の申請要件とするなど、手続厳格化を検討するとしている。

【土地開発後~運転開始後・運転中段階】

違反状況の早期解消を促すため、関係法令の違反状態での売電収入(FIT・FIP交付金)の交付留保などの再エネ特措法における新たな仕組みを検討。

(補足)例えば林地開発許可の取得後、森林法違反の指導中に売電し収入を得ているケース等も見られる。違反状況を早期に解消するため、一定期間内に改善が見られない場合、例えば関係法令の違反状態における売電収入(FIT・FIP 交付金)の交付を留保するなど、再エネ特措法において新たな仕組みを検討すべきとしている。

【廃止・廃棄段階】

事業廃止から使用済太陽光パネルの撤去・処理までの関係法令・制度間の連携強化を検討。また、リサイクルを促進・円滑化するための支援策や制度的対応を含み検討。

(補足)事業廃止後に太陽光パネルが危険な状態のまま放置されることがないよう、関係省庁において事業廃止から使用済太陽光パネルの撤去・処理までの制度間の連携強化の検討を行う。加えて、事業廃止後の使用済太陽光パネルの安全な引渡し・リサイクルを促進・円滑化するための制度的支援や必要に応じてリサイクル制度の活用や太陽光パネルの含有物質の表示義務化等について検討するとしている。

【事業実施段階横断的事項】

  • 〇地域における合意形成に向けた適切なコミュニケーションとして、再エネ特措法の認定にあたり、説明会の開催など地域へ事前周知の義務化を検討(転売の際の変更申請の場合も同様)

    (補足)地域とのコミュニケーションを巡っては、再エネ特措法の認定時には地域の住民の方々が認識しておらず、開発段階になって初めて認識するといった指摘が依然として寄せられており、地域との合意形成に向けた適切なコミュニケーションが不足している。このため再エネ特措法の認定にあたり、説明会の開催など地域へ事前周知の義務化を検討するとしている。

  • 〇風力発電、その他の電源として、立地に応じ地域の環境特性を踏まえた、効果的・効率的なアセスメントに係る制度的対応の在り方について、令和4年度に結論を得るため検討を進める。

    (補足)環境影響評価法の対象規模以下の規模の案件について、条例に任せておくだけで良いか、また、規模に関わらず立地場所の特性により環境影響が懸念される場合がある風力の特性も念頭に、風力特有のアセスについて規制強化をするだけでなく緩和策も含めて検討すべきとしている。

今回の検討に際しては、再エネ発電事業実施に伴う地域の懸念(資源エネルギー庁に寄せられた相談内容等)を分析し、課題を把握、課題解消に向けた取組みを提言(案)としてまとめている。資源エネルギー庁に寄せられた相談内容としては、提言(案)にも述べられているが、2016.10~2022.2末までで850件の相談があり、そのほとんどが(90%以上)太陽光発電に関するものであり、太陽光発電への対応を主体として今回の提言(案)はとりまとめられたと言える。

本提言(案)については、今後、パブリックコメントを実施、順次制度案の内容を具体化していくことなるが、その際、他の適正な事業者に対して過度な負担とならないような対応を期待したい。

提言の概要(案)
(第7回再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会2022.7.28 配布資料より抜粋)
提言の概要(案) 提言の概要(案)
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