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「政府が閣議決定:第6次エネ基計画・NDC等」に関連して

政府は10月22日エネルギー政策の方針を示すエネルギー基本計画を閣議決定しました。基本計画の内容を簡単にまとめると、

  • 1)福島復興を着実に進めていく、安全性を最優先とするなどはエネルギー政策の大前提。
  • 2)安全性(Safety)を前提とし、エネルギーの安定供給(Energy Security)を第一とし、経済効率性の向上(Economic Efficiency)、環境への適合(Environment)を図る、S+3Eの視点が重要。
  • 3)その上で、第6次エネルギー基本計画では、以下が示されています。
    • ・「2050年カーボンニュートラル」や新たな温室効果ガス排出削減目標の実現に向けたエネルギー政策の道筋を示すこと
    • ・気候変動対策を進め、エネルギー需給構造が抱える課題の克服、安全性の確保を大前提に安定供給の確保やエネルギーコストの低減に向けた取組を示すこと

更に、2030年に向けた課題や対応の具体的なポイントが項目別に挙げられ、電源構成の目標も示されています。再生可能エネルギー、水素アンモニア、原子力など非化石電源で約6割を目指します。その他にも地球温暖化対策計画、日本のNDC(自国が決定する温室効果ガス削減目標、対2013年46%削減)、気候変動適応計画、政府実行計画なども決定されました。

国の基本的な政策であるエネ基に加え、脱炭素に関しては短期、中長期の動向も含め、いろいろな論点が出ています。日経ビジネス、日経新聞を中心に関連の記事を紹介します。

  • (1)日経ビジネス 10月21日:
    「450兆円争奪戦に取り残される日本、脱炭素市場で影薄く」
  • (2)日経ビジネス 10月22日:
    「世界同時多発エネルギー危機の真因、スケープゴートになった脱炭素政策」
  • (3)日経ビジネス 10月25日:
    「中国で続く計画停電、原因は“中国流”の脱炭素推進だ」

●抜粋紹介

  • (1) 国際エネルギー気候(IEA)は10月13日に公表した世界エネルギー見通しで脱炭素に必要な投資額として年間4兆ドルが必要と示した。また、クリーンエネルギーへの移行が「あまりにも遅い」と糾弾。これにより市場が沸き立った。10月31日から開催されるCOP26を見越しての各国政府へのIEAによるガイドの位置づけである。COPは経済界にとっても大きなイベントであり、脱炭素市場の特徴は新興国でなく成熟社会である欧米での成長率が高いことである。グリーンボンド(環境債)の発行額は前年に比べ26%増に達した。
     しかし、市場急拡大の波に日本勢は乗り切れていない。太陽光パネル市場では2000年代前半に日本勢が世界シェアの上位を独占したが、今では中国勢がとなっている。風力発電でも日本勢は太刀打ちできていない。リチウムイオン電池も日本勢のシェアは急落した。
     ただし、脱炭素市場の世界シェアは市場拡大するデジタル産業とは特徴が異なる。米国のGAFA、中国のBATなどデジタル産業は新興企業が多いが、一方脱炭素関連事業では重厚長大の伝統的な企業が構造転換を果たし、新市場をつかみとっている。まだ、日本勢にも復活のチャンスがある。
  • (2) 現在、世界同時多発的にエネルギー危機が発生している。特に、欧州で電力・ガス価格の高騰、中国での計画停電、原油価格高騰によるガソリン高が話題になっている。「脱炭素政策の行き過ぎによるもの」という指摘もあるが、この記事では化石資源開発の停滞問題を取り上げている。
     2014年から2016年にかけて原油価格が大幅に下落した時期があった。世界のエコノミストが予想経済成長率を下方修正、それに伴い1バレル100ドル程度で推移した原油価格が急落。その結果、石油やガスの上流投資は大幅に削減、対2014年比で2016年は45%の減少になった。更にコロナ感染拡大による経済停滞で上流投資はさらに減少、2020年は対2014年比で58%減となった。石油・ガス開発は投資から生産まで5~6年かかり、2015年以降の投資減は2020年以降に影響を及ぼし、コロナ後の世界経済の回復で供給力不足が原油価格の高騰として現れてきた、としている。脱炭素トレンドは上流投資より後の話ということである。
     短期的にはCO2排出量を増やす方策で、この冬をしのぐことになるが、化石資源の上流開発の不足を甘く見ていたことで現在のエネルギー危機が発生したとしている。
  • (3) 8月から中国各地で始まった計画停電は徐々に範囲が広がっている。石油価格の高騰影響はあるが、電力不足ではない。計画停電は中国政府による脱炭素推進策の一つだ。計画停電は中国的な需給調整、電力不足も電力危機もないとの見方がある。
     理由は中国政府の「第14次五か年計画」である。2021年から5年間で毎年省エネ目標3%削減となっている。目標達成期限は12月、目標未達の地方政府は一気に計画停電に踏み切った。一方、石炭価格上昇により発電会社では石炭火力発電所の稼働を落とすことは経営にはプラスとなる側面もある。つまり、計画停電は中国流の脱炭素推進策となる。
     中国は計画経済によりカーボンニュートラル目標を達成しようとしており、脱炭素を巡る経済競争では中国が太陽光発電、風力発電、EV、蓄電池の分野で欧米や日本を圧倒している。脱炭素で始まった新たな経済潮流「ゼロカーボン」を制すべく、中国はしたたかに動いている。

脱炭素の動きは確実に進んでおり、再生可能エネルギーへの投資拡大も必然ですが、まだ不足している状態です。一方、化石燃料への投資は急減している状況。エネルギーの大転換期にある現在、今後の移行期のエネルギーリスク管理、安全保障が求められています。

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