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書籍紹介「エネルギー 新時代の夜明け」(山地 憲治 著)その2

今回は、最近読んだ本の中から、経済産業省の総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会の委員長を務める山地憲治氏の著書について紹介する。

山地憲治氏は、現在、地球環境産業技術研究機構(RITE)副理事長・研究所長である。1972年東京大学工学部原子力工学科卒業。1977年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。工学博士。以前、当財団の講演会で何度か講演いただいている。

今回紹介する「エネルギー新時代の夜明け」は、エネルギー関係の専門雑誌「エネルギーフォーラム」において、第41回エネルギーフォーラム賞特別賞を受賞している。

エネルギー 新時代の夜明け

【筆者の紹介コメント】
本書の目的は3つ。第1は、今は動力革命以来のエネルギー史の大きな転換の始まりではないかという私の予感を文章にまとめること。第2は、電気新聞の時評「ウェーブ」に定期的に寄稿している小論などを整理すること。第3は、昨年70歳の古希を迎えた私自身の区切りの記念です。

動力革命から300年、電気利用から150年を迎える今世紀半ばまでにエネルギーシステムの姿は一変するという私の予感をできる限り分かりやすく記述したつもりです。イノベーションという駆動力を意識して、再生可能エネルギー、核エネルギー、化石燃料、電力システムの未来を私なりに展望しました。

エネルギーの未来に対する私の思いを理解していただけると幸いです。

本書は、筆者が電気新聞に寄稿した原稿をまとめる形で編集されている部分が多く、同じ説明フレーズが幾度も繰り返し出てく部分があり、正直、文章の流れにおいては、若干読みにくさはあったが、筆者がエネルギー分野に長く携わってきた歴史と共に様々なエネルギーを巡る動きが紹介され、各出来事の背景がわかりやすい構成となっている。

印象深いところを何点か挙げると、筆者は原子力の出身であり、現在「核エネルギー」は厳しい状況にあるが、思い入れが深く再認識の必要性に言及している。また、現在はRITE研究所長という立場から、CCUSについて多くのスペースを割いている。CCUSは今後必要な分野であるが、まだまだ先は長いとの印象を受けた。

そして、最も多くの語られていたのは、再生可能エネルギーについてである。再エネ導入の現状とFIT制度の問題点、そしてFIT制度抜本見直しと主力電源化に伴う未来の姿について語られている。再エネ導入に重要な送配電系統についての言及も多く、「広域化する送電」「分散化する配電」という言葉が何度も出てくるところに著者のすみ分けと展望が感じられた。経済産業省の審議会の委員長を務める著者が、国のエネルギー政策について、はっきりと失敗は失敗と指摘している部分は好感が持てた。

最後の備忘録には、著者の個人的な様々な出来事や想いが書かれており、講演者、委員長として凛とした姿ばかり見てきた自分にとって、筆者の普段の生活を垣間見ることができ、それはそれで楽しい内容であった。

【ご参考】

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