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鹿追町バイオマスプラントについて

バイオマスを有効活用した安全な農作物の生産と環境負荷の少ない環境循環型農業の確立に頑張っている北海道鹿追町を紹介します。

鹿追町は、北海道十勝平野の北西に位置し、農業と観光を基幹産業とする人口約 5,500人の純農村地帯で、酪農と畑作が中心となっています。

然別湖を中心とした観光客が増える中、乳牛ふん尿の臭いが市街地を中心に課題となっており、乳牛ふん尿の適正処理を望む声が高まっていました。

そこで、乳牛ふん尿はもとより市街地から排出される生ごみや下水汚泥を適切に処理するとともにバイオマス資源の有効活用を図る目的で、バイオマスプラントを核とした「鹿追町環境保全センター」を平成19年10月より稼働を開始しています。

処理能力は、バイオマスプラントで94.8t/日、堆肥化プラントで41.6 t/日となっており、成乳換算で1,870頭分の乳牛ふん尿を処理することが可能となっています。

平成28年4月からは町内2基目となる「瓜幕バイオマスプラント」が稼働を開始しています。こちらは210 t/日(成乳換算1,870頭分)の処理能力となっています。

バイオガスプラントでは、乳牛ふん尿は酪農家から専用コンテナーで搬送し、原料層に投入され、冬季間の原料凍結を防ぐため加温用の温水配管が設置されています。発酵槽は箱型発酵槽と円柱型発酵槽があり、箱型発酵槽は発行段階にあわせて3段階に分かれているため効率が良い特徴があり、また、円柱型発酵槽は攪拌・加温装置に加え円柱形の構造で、発酵槽上部はガスホルダーを兼ね、生物脱硫効果が高い特徴があります。

製造されたバイオガスの90%が発電に使用され、総発電量の80~90%を売電し残りは施設内で使用しています。発電量は、6,000kWh/日となっています。

平成24年度に導入されたFIT制度により、売電価格が大幅に改善され収入も大きく向上し、環境保全センターの安定稼働に大きく貢献しています。

発電により発生した熱は、施設内で利用するほか、チョウザメ飼育施設の熱源として利用しています。

また、バイオマスプラントの処理過程で生成される消化液は、環境に優しい有機肥料として町内の臭気改善と地力向上に利用されています。

さらに、バイオガスからの水素燃料を製造し、貯蔵・輸送・供給までの一貫した水素サプライチェーン構築や地域分散型のエネルギー供給体制の確立、地域新電力の設立など、災害に強いまちづくりを目指しエネルギーのさらなる活用が図られることを期待しています。

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