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鹿追町、エネルギー地産地消へ前進 古河電工とバイオガス活用で連携

北海道の鹿追町と電線大手の古河電気工業が、牛などの家畜ふん尿由来のバイオガスからLPガスの開発を共同で行う包括連携協定を締結した。両者は地域資源を生かした脱炭素社会の実現を目指すもので、鹿追町が取り組むエネルギーの地産地消が大きく前進する。

鹿追町は、脱炭素社会・循環型社会の実現に向けた活動に積極的に取り組んでおり、国内最大級のバイオガスプラントによる発電事業をはじめとしたカーボンニュートラル事業を通して一次産業とエネルギー産業の融合に成功している。

古河電工は社会課題解決型事業の創出をマテリアリティ(経営上の重要課題)に掲げ、脱炭素社会・循環型社会の実現に貢献する「環境配慮事業の創出」に取り組んでいる。その取り組みの一環として、2050年カーボンニュートラル実現と持続可能なエネルギーの安定供給への貢献を目指し、二酸化炭素とメタンをLPガスに変換する触媒技術の開発を進めている。

本協定の締結により、鹿追町の地域資源やノウハウ等を活用し、地域課題の解決に資する事業の育成を目指す。具体的な取り組みとしては古河電工が進めるNEDOのグリーンイノベーション基金事業「グリーンLPガス合成技術開発」の実証候補地として、共創を開始する。また、二酸化炭素とメタンに加えて、様々な地域資源を最大限利活用した脱炭素社会・循環型社会の実現を目指すとともに、専門人材の育成にも取り組む。

・バイオガスをLPガスに変換する触媒技術

牛などの家畜ふん尿由来のバイオガスの再資源化は、一般家庭や酪農場などでの利用に加え災害時用のエネルギーとしても利用できるLPガスを地産地消できるほか、家畜のふん尿の処理コストの低減や異臭・水質汚染といった畜産業が潜在的に抱える課題の解決にもつながる可能性がある。

バイオガスをLPガスに変換する触媒技術

古川電工グループは、これまでに培ってきたメタルとポリマーの製造・加工技術を新たな分野で活用すべく、技術の進化を進めている。本開発においては、畜産業において家畜のふん尿から得られるバイオガスに着目し、高効率で再資源化きる技術として、当社が開発したラムネ触媒(ニッケルを触媒として使用)を使用することにより、従来、活性が低く短時間しか持続しなかった反応を大幅に改善した。

2023年までに小型試験機による実証、2025年までにフィールド実証試験を行ない、2030年の実用化に向けて取り組んでいる。

ラムネ触媒

【ラムネ触媒】
多孔質材料内部に金属触媒を固定することに成功した。この触媒は従来の触媒の課題とされてきた耐凝集性・耐コーキング性を持ち、バイオガスから合成ガスが得られるドライリフォーミング反応において、高活性かつ長寿命な触媒と。触媒が多孔質材料内部に固定される姿がラムネの瓶に似ていることから、ラムネ触媒と名付けられた。

再生可能エネルギーのさらなる導入拡大のために、自治体と企業が連携して取り組むことはこれから非常に重要となる。今後の成果に期待したい。

【参考資料】

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