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水力発電の特徴と役割について

日本の水力発電は明治期より行われてきました。平成29年時点では、日本の一般水力発電所は電気事業用及び自家用(100kW以上)合わせて1,988箇所、その総出力は22,419MWが運転中であり、日本の年間消費電力量の約10%、設備容量で約20%を担っています。このように100年以上の非常に長い歴史を持ち、現在も開発が進められている水力発電ですが、どのような特徴があり、今後どのような役割を期待されているのでしょうか。

まず始めに特徴的であるのが、CO2排出量の少ないクリーンな電源という点です。水力発電のエネルギー源となる「水」は山や川に降る雨であり、その水の位置エネルギーにより発電するため、運転過程におけるCO2排出量は極めて少なくなります。発電所の建設を含むライフサイクルCO2排出量を電源別に評価すると、水力発電は最もCO2排出量が少ないというデータがあります。今後も水力発電は、低炭素電源として更なる拡大が期待されています。

続いて、水力発電は長期安定的な運用が可能という特徴があります。適切な維持管理を行うことで、設備の寿命が非常に長くなります。国内には運転開始から100年が経過し現役で稼働している発電所もあります。近年では、既設の発電所やダムを有効活用し、発電電力量を増大させるための取組が積極的に進められています。また、水力発電は燃料なしで発電することができるため、純国産のエネルギーとして長期間にわたって有効に活用することができます。

最後の特徴は、安定的な発電と高い負荷追従性です。水力発電は他の再生可能エネルギーと比較して季節や時間帯による出力の変動が少なく、安定的に発電するため、設備利用率が比較的高くなります。これは、国内の限られた送電設備の容量を効率的に利用することにも繋がっています。また揚水式発電所や調整力を有する一般水力発電所は、電力需要の変動に対応して、短時間での起動・停止や出力を増減させたりすることが容易であり、需給バランス調整や周波数制御など、高品質な電力供給の確保に貢献しています。

【参考文献】

  • ・「令和元年度 新エネルギー人材育成研修会(水力発電コース)テキスト」 新エネルギー財団
  • ・「水力発電の開発促進と既設水力の有効活用に向けた提言」新エネルギー財団
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