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水力発電所の可変速運転について

水力発電所の水車発電機は、電力系統に連系して一定の回転速度で運転します。一定速度のため定速機と呼ばれ、ほとんどの発電所で採用されています。

これに対して可変速発電機では、水の落差等に応じて回転速度を変化させて運転することが可能です。可変速発電は、ダム維持流量発電所などの水位(=水の落差)の変動が大きく、また発電に使用可能な流量を一定に保つなどの制約が求められる発電所等に適用されています。水車の基準となる落差から、低落差側もしくは高落差側に大きく変動した場合、水車効率は低下してしまいます。可変速機では、落差の変動に対して回転速度を調整することにより、水車の羽根の角度と流入水の関係が改善されます。これにより定速機と比較して可変速機では、落差変動による効率低下を抑えることや、水車の振動や損傷を回避して運転することで発電電力量の増加に繋がります。

一方、揚水発電所においても可変速揚水発電システムが開発され、すでにいくつかの発電所で導入されています。揚水発電所において一般的な定速の揚水発電機では、発電運転時には出力(発電機から電力系統への出力)を定格出力から数十%まで調整して運転することが可能ですが、揚水運転時には入力(電力系統から電動機への入力)を調整することができません。これに対し可変速の揚水発電機では、発電運転時の出力調整に加えて、揚水運転時の入力も調整することが可能になります。これにより、夜間や日中晴天時など余剰電力の発生により揚水運転を行う際にも、系統周波数の調整を行うことが可能となります。

なお、可変速発電機と可変速揚水発電機のいずれも、可変速運転のための機器や制御装置が必要となります。以上のように可変速発電、可変速揚水発電は、電力量の増加や電力系統の安定化に寄与するものであり、その果たす役割は大きく、至近年では定速の揚水発電機を可変速の揚水発電機に改良する工事も行われています。

一般的に、可変速制御方式としては発電機の主回路の周波数を制御する一次周波数制御方式と発電機の二次回路を制御する方式とがあり、前者は出力が数百kWまでの小出力の発電所に、また、後者は数千kW以上の発電所及び揚水発電所に採用されています。

【参考文献】

  • ・「日立評論2002年2月号:落差変動の大きい中・小水力発電所用可変速誘導発電システム」
  • ・「東芝レビュー2014年:水力発電機器製造120年の歴史と今後の展望」

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