昨今の自然災害の激甚化、電気保安人材の将来的な不足への懸念および感染症の流行を背景に、「電気保安のスマート化」への取組みが経済産業省において進められています。具体的には、現場作業員による定期点検方式から、IoT技術やドローン、AI等の新技術を用いた電気保安体制へ移行し、電気保安の高度化・効率化・遠隔化を目指しつつ、スマート保安に適した規制の合理化に向けた検討も同時に行われています。
水力発電設備については、まず平成30年度に公営水力発電所での巡視点検業務を対象にした調査が行われ、諸課題の整理とともに保守の省力化・高度化に向けた対応策として、
が整理されました。
つづく令和元年度の調査では、前年度の調査結果を基に、設備の規模、出力、点検の手法等に応じた巡視の頻度・項目など点検の在り方の見直しが行われ、ICT/IoT導入がより効果的と考えられる巡視点検項目が抽出されています。
令和2年度には、クラウド等を用いた保守点検システム(データの遠隔伝送や故障予知、タブレットやWebカメラ等を活用した巡視・点検の効率化)の構築などによる遠隔常時監視の実証事業が行われており、水力発電所の関連でも複数の案件が採択されています。また、年度末にはスマート化促進のガイドラインが策定される予定です。
上記の取組みと並行して、令和2年6月には、スマート保安を強力に推進することを目的に官民トップによる「スマート保安官民協議会」が設置され、「スマート保安推進のための基本方針」が提示されています。
【参考資料】