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水力発電計画の机上検討

水力発電計画の策定は、取水点の流量から発電に利用する最大取水量を決め、そこから発電電力量を求めて収入を計算し、取水~放水までの土木設備及び発電機設置の土木設備・電気設備の費用を求め、経済性があるか等の指標を算出して検討する作業です。

実際に発電計画を進める場合は、徐々に精度を高める計画策定作業を重ねていく方式がとられます。まず、地図を使った建設位置の検討を行い、発電規模や工事費の概算を出して評価します(可能性調査・概略設計などと言われる)。その後、地質調査や工事用搬入路の調査など、現地調査を実施し、詳細な検討を行っていきます(基本設計)。これらの調査で採算性のよい条件が出てきたら、さらに詳細な設計・調整を進めていきます(実施設計)。

発電計画は数多くの候補を挙げて、それらの建設・運用の採算性を見極め、条件の良い地点を開発します。複数個所の現地調査を行うのは大変なので、机上検討で候補地点を絞り込む必要があります。

机上検討ではまず、地図スケール1/50,000~1/25,000程度で概略計画を立て、経済性を判断していきます。流域面積や水路ルートを机上で計算し、工事費と発電電力量を見比べて、経済性が良さそうな地点を選び、詳細な検討を重ねていきます。

取水箇所の設定 地形図から河川の標高を読み取り、ダム設置位置を決める。
集水面積の広さや、ダムの建築のしやすさなどを考慮する。
水路ルートの選定 長くなるとコストが上がるので、なるべく短く選定する。また無圧水路、圧力水路を選定する。
水槽位置の選定 水槽または調圧水槽の位置を決める。有効落差を確保しつつ、発電所への水圧管がなるべく短くなるように選定する。
発電所、放水路の選定 洪水時の河川水位の上昇で被災しない、重量物搬入路が確保できる、などを考慮して選定する。
取水箇所の流況、最大使用水量の検討 10カ年の流量記録を用いて、取水量を推定する。35日流量~100日流量付近で最大使用水量を数パターン選定する。
有効落差の推定 水路、水圧鉄管、放水路などの長さから損失落差を計算し、発電に使える有効落差を求める。
出力計算 有効落差から発電機出力を計算する。
発電電力量の算出 流況曲線から年間可能発電電力量を求める。
工事費の算出 「水力発電計画工事費積算の手引き」「未開発地点開発最適化調査規模選定工事費積算基準」などを用いて工事費を積算する。

このような机上検討を何度か繰り返し、条件の良い候補地点を絞り込めたら、現地調査など次のステップに移ることになります。

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