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水素社会への新たなアプローチ

経済産業省において、第1回水素・燃料電池戦略協議会が開催されたのは今から9年近く前の2013年12月である。その際、経済産業省から提示された主な論点の第1が「水素エネルギー利活用の意義と導入見通し」、第2の論点が「水素エネルギーの利用」、第3の論点が「水素の製造」、第4の論点が「水素の輸送・貯蔵」、そして第5の論点が「ロードマップの策定及び分野横断的取り組み」となっており、この協議会が、その後の「水素社会」に向けた国の政策の展開の入り口になったことは明らかである。

他方、これらの論点の提示の中で特徴的なのが、第2の「水素エネルギーの利用」に係る論点で、➀「定置用燃料電池」、➁「燃料電池自動車」、③「水素の新たな用途」の3つが挙げられているが、③の「新たな用途」の中でも燃料電池フォークリフト、燃料電池バスといった燃料電池関連のものが取り上げられており、燃料電池の利用以外のものとしては水素発電が挙げられている程度である。

つまり、この協議会は、その名称が示すように2009年の家庭用燃料電池エネファームの販売開始、2014年の燃料電池自動車「ミライ」の販売開始を背景に、従来のエネルギー利用システムよりエネルギー効率の高い燃料電池を中心にした水素社会の構築を目指すものであったと言える。

その後、水素社会については、2017年12月の再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議で「水素基本戦略」が策定され、また、2018年10月には世界の21の国、地域、機関から閣僚クラスを集めた水素閣僚会議を東京で開催し、世界に向けて日本のリーダーシップを示したところである。

他方、燃料電池に関しては、そのコストの高さから普及が想定したほどには進まず、さらに燃料電池自動車については、燃料である水素の供給を担う水素ステーションの整備との間で需給のミスマッチが発生して悪戦苦闘している状況である。最近になって燃料電池バスや燃料電池フォークリフトなどの燃料である水素の供給施設を計画的に整備し利用できるもので、普及が進みつつあるところである。

こうした状況の中、カーボンニュートラルの流れの中で、最近ではEU、英国、ドイツ等が独自の水素戦略の構築を始めており、先行していたはずの我が国も、従来の水素・燃料電池戦略協議会のアプローチだけに頼るわけにはいかないとの認識に至ったものと思われる。そこで始められたのが、総合資源エネルギー調査会の中に設置された水素・アンモニア政策小委員会である。令和4年3月29日から3回開催され、現在中間整理に進んでいるが、議論のポイントは、カーボンニュートラルな社会になるためには、水素・アンモニアを広く利用せざるを得ず、そのための準備に後れを取っては世界の中で勝ち残れないので、とにかくエネルギー基本計画で目標とされた「2030年に最大300万トン/年の水素供給量、水素・アンモニアで電源構成の1パーセントを賄う」を達成すべく、水素・アンモニアの商用サプライチェーンの構築と水素・アンモニア供給拠点の整備を推進しようということである。水素・アンモニアの需要先としては、エネルギー効率の高い燃料電池の利用にこだわることなく、大規模な発電事業での水素・アンモニアの混焼やコンビナートでの燃料、原料利用までを広く視野に入れ、まずはそのための「水素供給拠点」の形成から行うというアプローチになる。

令和4年4月の中間整理を踏まえ、新たな施策の第1弾としてこの7月7日から新たな水素供給拠点の整備に対する補助金の公募が始まったところであるが、さらに今後の政策展開に目が離せないところである。

【参照資料】

  • ・総合エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会水素政策小委員会
    資源燃料分科会アンモニア等脱炭素燃料政策小委員会 合同会議資料
    (第1回 令和4年3月29日、第2回 令和4年4月18日、第3回 令和4年4月27日)

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