本稿では、RE100とは何か、追加性要件(15年ルール)とは何か、水力発電への影響の3点について述べます。
RE100とは、再生可能エネルギー100%を目指す野心的な大企業数百社を集めて結成された、グローバルな企業連合による再生可能エネルギーイニシアチブです。2014年に結成され、2023年1月10日現在で、参加数は、世界で397社、日本企業は77社です。業種別でみると、世界的には⾦融が、⽇本では建設業、電気機器、⼩売業が多いです。
RE100の認定要件には、例えば以下のものがあります。
「目標年を宣言し、事業全体を通じた100%再エネ化にコミットすること。
もしくは、既に100%再エネ化を達成していること。
目標年の設定は以下の要件を満たす必要がある。
2022年10月24日に再エネの調達手法等を定める「Technical Criteria」(技術要件)が改定され、2024年1月以降に調達する電力に対し、新たな要件が追加されました。
このうち、追加性要件として、再エネ電源からの購入電力については、運転開始日(試運転日)またはリパワリング日から起算して15年以内の電源からの調達が必要とされました。背景には以下のような要素があると思われます。
詳細は下図を参照して下さい。
今後、「追加性(additionality)」が大きな付加価値として高く評価される時代になるということであれば、RE100等のいう「持続可能な水力」の要件(*)との兼ね合い次第ですが、水力設備の設備更新・リパワリングがさらに加速化する可能性はありそうです。
一方で、日本の水力発電においては、これまで数十年間にわたり丁寧なメンテナンスを繰り返しながら運用している発電所も多いため、既存の大規模水力発電所を環境価値としてどのように評価すべきかに関する議論の余地があり、例えば「脱炭素電源を維持し続ける価値」として評価することも可能という意見もあり得ます。
また、日本には新規の大規模水力開発の余地が非常に少ないうえ、こちらもRE100等のいう「持続可能な水力」の要件との兼ね合いから、新規開発には慎重な動きにとどまる可能性もあるかもしれません。さらに、卒FITの取り扱いや非化石証書との関係性も検討する必要があると思われます。
(*)RE100 technical criteria and appendices (Japanese) 「付録 C: プロジェクトのリパワリング」によれば、「持続可能な水力」の要件として、例えば、「改良は、既存の貯水槽の貯水容量ないしは水頭を増加させる結果をもたらしたり、または水源の河川の流れを変えるものであったりしてはならない。」とあります。【参考文献、参考になるウェブサイト】