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地熱発電における系統接続

発電所から系統接続までの架空電線路は、発電所の負担が原則になっています。発電所から系統接続までの長い距離を送電する必要がある場合は、発電事業者の負担が大きくなりますので、発電所の設置場所にはそのことに配慮しなければなりません。地熱発電所の場合、発電所として事業が成り立つためにはマグマが存在する火山の近辺に設置することが多くなりますが、山間部になることが多く、その場合には系統接続の費用が問題となってくる可能性が高くなります。系統の接続点がたまたま近くにある時には、この費用は低くなりますが、逆の場合には架空電線路を延々と引かなければならない場合があり、数十億円の費用が掛かるとの試算になる場合もあると聞きます。

2012年から開始されたIT制度(固定価格買取制度)では、地熱発電では一律に、15,000kW未満の場合は40円+税、15,000kW以上は26円+税となっています(リプレースの場合は除きます)。この価格には発電所から系統接続までの架空電線路の費用が含まれているとされています。ここから、系統の接続点に近い場合と遠い場合とで変わってくる費用負担に対して、一律の価格が設定されてしまっていることに対して改善を求める声が、地熱発電事業者に根強く存在しています。

新エネルギー財団では、「地熱エネルギーの開発・利用推進に関する提言」を毎年検討していますが、令和2年3月の提言に次のように記載しています。

また、地熱発電所は、送電容量の小さい系統末端の山間地に設置されることが多い。このため、系統の接続可能な容量によっては出力が抑制され、資源量を十分に生かせていない場合がある。さらに、接続できる場合においても接続点までの架空電線路が長大になり、工事費用負担割合が増大して開発が抑制される可能性がある。その対策として、例えばFIT制度の見直しに際しては、系統接続の費用分を切り離して価格設定を行った上で、系統接続工事に係る費用について、別の形での国による助成金等の支援を要望する。

国による検討と、助成金等の支援を期待するものです。

【参考文献】

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