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地熱資源調査について

地熱発電開発は大きく4つのステージから構成されます。ステージⅠ「地熱資源調査」⇒ステージⅡ「F/S調査(事業化可能性調査)」⇒ステージⅢ「環境影響評価」⇒ステージⅣ「発電所建設・運転開始」の4つのステージです。

ステージⅠ「地熱資源調査」は、地熱発電に重要な3要素の状況を確認することが目的となり、予備調査、地表調査(概査)、地表調査(精査)、坑井掘削からなります。

予備調査は調査対象地域における既存調査など文献を収集・整理して地熱開発が有望と推定される調査対象地域を抽出します。既存調査および文献は①地質調査、②地化学調査、③物理探査、④坑井調査、⑤環境調査などについて収集・整理します。有望地域については現地視察も実施します。これらの結果をもとに総合評価を行い、地熱構造モデルを概略検討して、地熱資源分布状況を推定し、調査計画を策定します。なお、地熱構造モデルは、地熱系の3要素である器(地質構造解析)、熱(熱構造解析)、水(流体流動解析)からなります。

地表調査の概査では、予備調査により設定した地域において地質調査、地化学調査、物理探査を実施し、各種データを取得して総合評価を行います。主な物理探査としては重力探査、電磁探査が実施されます。総合評価では地質構造・熱構造・流体流動解析から地熱構造モデルを作成し、精査地域の設定を行います。調査面積は地域により異なりますが、地熱開発促進調査B(50~70km2)程度から数10km2を対象とします。

地表調査の精査では概査で抽出された地域について、地質調査、地化学調査、物理探査の精査・補足調査を行い、総合評価により地熱構造モデルを作成して有望地域の抽出と坑井掘削地点を選定します。設定された掘削ターゲットに対して坑井掘削計画を策定します。また、環境調査(温泉モニタリング、環境調査)を行います。

調査地域の地熱資源賦存を確認するために地熱資源調査の最終段階として坑井掘削を行います。坑井掘削は1,000m~2,000m級で実施し、貯留層の確認を行います。坑井掘削に係る坑井内調査としては、地質調査(コア調査、カッティングス調査・試験)、坑内検層(温度、電気、注水試験、温度回復試験)を行います。さらに噴出試験を行い地熱流体の確認を行います。また、既存情報が少ない地域では、早い段階で500m級の坑井掘削を行う場合があります。

得られたデータは既存調査の結果とともに総合評価を行い、地熱構造モデルを作成、資源量評価、必要に応じて経済性評価を行い地熱資源調査の報告とします。

【参考文献】

  • ・「令和元年度 地熱開発技術者研修会テキスト」 新エネルギー財団
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