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地熱発電設備の概要

地熱エネルギーは主に地中深くの火山性の熱により加熱された地下水を地上に取り出して使用されます。熱エネルギーなので暖房や温室など熱エネルギーのまま利用されることも多くありますが、分離された蒸気を利用して発電するものが地熱発電です。

地下深くに形成される地熱貯留層内で加熱されて高温高圧の水の状態で存在していると考えられているところに坑井を掘削すると、高温高圧の水は坑井出口との圧力差により坑井内を上昇して地上に出てきます。上昇するにつれて圧力が下がり飽和圧力まで低下すると熱水の一部は蒸発を始め、蒸気と熱水の交じり合った混合流体となります。一般的に、この混合流体を二相流(気相と液相の混合流)と呼びます。坑井内を上昇するにつれて圧力が低下し蒸気の割合が増えますが、多くの場合は地上に二相流の状態で噴出します。

このようにして地熱貯留層から地熱流体を取り出す坑井を生産井と呼び、その場所を生産基地と呼んでいます。生産基地で取り出された二相流は、セパレータにより蒸気と熱水に分離されます。この分離された蒸気のみを蒸気タービンへ導入し、発電する方式をフラッシュ方式と呼びます。図1にシングルフラッシュの例を示します。

シングルフラッシュのサイクル例
図1 シングルフラッシュのサイクル例

蒸気タービンで蒸気の熱エネルギーを回転エネルギーへと変換することにより、蒸気タービンに接続された発電機を回転させて発電します。蒸気タービンで仕事を終えた蒸気(タービン排気)をそのまま大気へ放出する方式を「背圧式」と呼びます。一方で、タービン排気を復水器へ導き、冷却水により凝縮させて復水器内を真空とすることにより、より多くの出力を得る方式を「復水式」と呼びます。

【参考文献】

  • ・新エネルギー財団(2019):「令和元年度 地熱開発技術者研修会テキスト」
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