地熱開発による温泉への影響可能性(その1)の通り、温泉の源泉温度と化学成分によって、この5つのタイプにおおよそ分類することができますが、化学成分的にはこの典型的な5種に属さない2種類があります。それは、陰イオン成分としてHCO3-が卓越する「CO2付加型」と、強酸性の「火山ガス吹込型」です。図2に示す通り、CO2付加型については、CO2の起源が地熱貯留層である可能性がある一方、別の起源(岩石鉱物や土壌の有機物、又はマグマから直接など)の場合も多く、温泉帯水層と地熱貯留層との水理的関係が不明です。つまり、泉質のみからは5つのタイプのどのタイプに属するかを判別できません。他方、火山ガス吹込型は、強酸性の火山ガスがマグマから直接供給された経路しか考えられないため、地熱貯留層との水理的つながりはなく、5つのタイプの中で独立型(無関係型)に相当すると考えられます。
この2種類を加えた7種類の泉質タイプの分布範囲の概念図と、それぞれの分類方法を、図3と図4に示します。
地下探査技術と分析技術は進化していますが、温泉事業者と地熱開発事業者が信頼関係を築くためにも、現状を十分に把握し、科学的根拠に基づいた分析と説明が重要となってきます。
【参考文献】