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地熱井の掘削計画

坑井掘削は、1cm先であっても見えないことから、地下状況を推測しながらの施工することが多くなります。このため安全性の高い計画を立案する必要があります。掘削計画は、地下のターゲットまで計画した坑径で、掘削中はもとより掘削後の使用においてもトラブルを防止でき、コスト軽減を考慮した、目的に合った設計と選定を取りまとめます。また、掘削中に予想より悪化した坑内状況となった場合は、その都度計画を見直すことも必要です。特に、地下情報の少ない調査井では、コスト軽減のみを考慮した計画を立案すると、坑井トラブルが発生し、逆に高コストとなるだけでなく、調査目的を達成できなくなることもあります。

地熱井は、ケーシングパイプを通して高温の地熱流体を採取するため、ケーシングパイプと外周のセメントは大きな温度変化にさらされます。この温度変化によるトラブルを軽減するためには、坑口バルブを取り付けるケーシングパイプは油井用鋼管を使用し、ケーシングセメンチング不良を防止するため坑井とケーシングパイプの間隙差は50.8mm(2”)以上とすることが望ましいです。

掘削計画の一例として、ケーシングプログラムがあります。ケーシングパイプは、坑壁の崩壊防止、坑口装置の支持、生産または還元流体の通路、逸泥層・出水層・崩壊層などとの遮断、地下水層、温泉層に対する汚染防止、腐食、浸食または破損に対する坑井の保全、ドリルパイプ等の掘具に対する摩擦抵抗の軽減、キーシートの防止などの機能を有し、坑井トラブルはもとより坑井寿命に大きく影響します。このため、掘削計画を立案する上で最も重要となるのはケーシングプログラムであるともいえます。図1にケーシングプログラムと仕上げ法の例を示します。

図1 ケーシングプログラムと仕上げ法の例

【参考文献】

  • ・新エネルギー財団(2019):「令和元年度 地熱開発技術者研修会テキスト」
  • ・新エネルギー財団(1994):「地熱井掘削自主保安基準(増補版)」
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