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地熱構造モデル

地熱の資源量評価には、容積法や数値シミュレーションなどの手法が適用されますが、これらの手法は調査結果を基に構築される地熱構造モデルを基に実施されます。そのため、貯留層(資源量)を評価する上で地熱構造モデルは必要不可欠なものであり、より詳細で定量的なモデルが構築されることが望ましいです。しかしながら、実施される調査・試験項目は調査段階(概査・精査など)で異なるため、地熱構造に関して明らかになる結果や精度も調査段階で異なります。そのため、地熱構造モデルは、各調査段階で修正されていくべき性質のものです。

また、発電所建設後には、坑井や地熱貯留層の挙動が当初(事前)予想と異なる場合には原因調査が実施されたり、補充井が掘削されたりすることがあります。このような場合は、これらの重要な調査結果を基に修正した地熱構造モデルを基に坑井や地熱貯留層の挙動を予測し、発電所の運用に反映させていく必要があります。このように、地熱構造モデルは、地熱貯留層評価だけでなく地熱貯留層管理においても重要なモデルとして位置づけられています。

この地熱構造モデルには、地熱貯留層の3要素である熱構造(温度構造)、流体流動(熱水系)、貯留構造に関する記載がなされていることが望ましいです。具体的には、地質・変質分布、断層分布、熱源、貯留層やキャップロックの分布、リチャージ域、ディスチャージ域、天水や地熱流体の流動、貯留層熱水の物理・化学特性、貯留層温度・圧力分布などの要素がありますが、少なくとも当該地熱貯留層を説明する上で必要な要素は記載されることが望ましいです。

【参考文献】

  • ・新エネルギー財団(2019):「令和元年度 地熱開発技術者研修会テキスト」
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