地熱発電の蒸気生産・輸送設備の概要
地熱発電の蒸気生産・輸送設備として、日本の地熱発電所で多い熱水卓越型で一般的となっている「シングルフラッシュシステム」及び「ダブルフラッシュシステム」について概要を紹介します。
蒸気生産・輸送設備のシングルフラッシュシステム概念図を図1に示します。
シングルフラッシュシステムの設備構成としては、以下のようになる。
- (1)生産井坑口設備
生産井との取合いである坑口一次弁からの坑口二次弁を主要素とした坑口配管 と生産井特性と運用に合わせた坑口サイレンサ等の噴気設備
- (2)二相流体輸送管
坑口配管から気水分離設備までの配管
- (3)気水分離設備
Uベンドセパレータ、サイクロンセパレータ、ミストセパレータ等の産出流体特性に合わせた蒸気と熱水の分離設備と蒸気の放出設備及び熱水の一次処理設備
- (4)蒸気輸送管
気水分離設備で分離した蒸気を発電所の取合い点まで輸送する配管及び蒸気凝縮水の排出設備
- (5)蒸気だめ
蒸気輸送管を合流・集合させ、蒸気の発電所への引渡し状態を整える蒸気圧力調整、発電所サイレンサ等を含む設備
- (6)熱水輸送管
気水分離設備で分離された熱水を還元井へ輸送する配管設備(熱水ピット、還元熱水ポンプ等を含むことがある)
蒸気生産・輸送設備のダブルフラッシュシステム概念図を図2に示します。
ダブルフラッシュシステムの設備構成としては、前述のシングルフラッシュシステムの設備構成の(3)気水分離設備と(4)蒸気輸送管にそれぞれ以下が追加させます。
- (3)気水分離設備
前述の各種セパレータからの熱水を減圧し自己蒸発にて二次蒸気を発生させるフラッシャ
- (4)蒸気輸送管
前述の自己蒸発蒸気を二次蒸気として発電所の取合い点まで輸送する配管及び蒸気凝縮水の排出設備
【参考文献】
- ・新エネルギー財団(2021):「令和2年度 地熱開発技術者研修会テキスト」