４ 坑内トラブルと対策（その１）

坑内トラブルには、ドリルストリングの落下、工具やハンドリングツールの落下、ビット等の破損、ドリルストリングの抑留、地下流体の暴噴、測定用ラインの切断落下等がある。地熱井の坑内トラブル対策では、ドリルストリングの坑内温度変化による伸縮や、採揚機器や資材の耐熱性能に留意する必要がある

(1) ネジ戻りによるストリングの落下と採揚作業
　ネジ戻りによる遺留事故は、オーバーロータリートルクの急激な開放、ロータリークラッチの急激な遮断、ケリーブッシング等の破損、ドリルカラーネジの切断に伴う反動等によりに発生する。

オーバーロータリートルクによる落下は、坑径浚渫中にビット等が地層にせり込み、掛かったトルクが急激に解放され、その反動でネジが戻ることで発生する。ロータリークラッチの急激な遮断による落下は、オーバーロータリートルク発生時にロータリークラッチを急激に切ると、そのトルクによりストリングが逆回転し、ネジが戻ることで発生する。ケリーブッシングの破損等による落下は、地上の回転トルク伝達装置が破損することにより、ストリングが逆回転し、ネジが戻ることで発生する。図８にねじ戻り状況を示す。