4 坑内トラブルと対策(その3)
(3) ビット等の破損と採揚
ビットのコーンやローラリーマーのカッター、スタビライザーのブレード等が破損し遺留する事故で、ビットのベアリング部破損、リーマーカッターの取り付けに用いられているスプリングピンの破損等により発生する。また、ダウンホールモータのスラストベアリン部の部品が破損落下したこともある。
ローラーコーンビットは、ベアリングが摩耗するとカッターの脱落やカッター同士がぶつかり破損することで落下することがある。図12にモータ掘削中に破損したビットを示す。
溶接型のブレードスタビライザーは、ブレードが溶接不良により脱落することがあるので、溶接時の予熱や除冷、非破壊検査が必要である。スタビライザーのブレードやローラリーマーのカッターのような大きなものが脱落すると、坑壁とビット等の間に挟まり揚管できなくなることがある。
採揚機器は、遺留した破損物の大きさや形状により、ジャンクサブやジャンクバスケット等から選択する。ジャンクサブによる採揚作業は、ジャンクサブに接続したビットやジャンクミルにより、遺留物を破砕し、送泥量を変えながら低速で回転させる「ジャンク操作」をおこなう。ジャンクバスケットには、バスケット内の泥水の流れ方によって正循型と逆循型があり、現場でも簡単に作れるフィンガー型(プアボーイ型)のものもある。逆循型ジャンクバスケットは、バーレルの上端のシートにスチールボールがはまり込むと、泥水がバーレルの間隙を流れ逆循となり、ジャンクが入りやすくする。図13にジャンク採揚器を示す。
【参考文献】