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ダム水路主任技術者免状の取得に必要な実務経験年数を短縮へ

電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第43条の規定により、事業用電気工作物(ダム、導水路、サージタンク及び水圧管路等(以下、「ダム等」という))を設置する者は、事業用電気工作物(ダム等)の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、ダム水路主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、ダム水路主任技術者を選任しなければなりません。ダム水路主任技術者は、安定供給の確保はもちろん、安全なダム放流操作や事故時の下流住民等への浸水被害回避など、公共の安全を確保する重大な責務を負います。最近は、FIT/FIPやPPAを活用した新規の中小水力発電所の建設も増加しています。

ところが、近年、ダム水路主任技術者免状取得者が大きく減少傾向にあり、さらに50代、60代の保有者が全体の5割以上を占める状況で、近い将来の人材不足が大いに懸念されています。

このため、経済産業省は、ダム水路主任技術者の安定的な確保をはかるために様々な施策を検討しています。

その中のひとつが、2023年3月31日開催の第13回 産業構造審議会 保安・消費生活用製品安全分科会 電力安全小委員会 電気保安制度ワーキンググループで議論された実務経験年数の見直し(短縮)及び実務経験年数を補完する制度(講習受講等)の導入です。

現行の免状取得要件では、学歴又は資格ごとに実務経験年数を設定し、さらに各学歴に共通の最低要件として、高さ15m以上の発電用ダムでの実務経験年数を学歴又は資格ごとに設定しています。

今回の見直しでは、学歴又は資格ごとの実務経験年数を合理化により大幅に短縮し、高さ15m以上の発電用ダムでの実務経験年数を学歴や資格に関わらず一律3年以上に設定するとしています。さらに、講習により実務経験を代替できる要素があることに着目し、土木工学やダム水路に関する講習を受講することにより実務経験を積んだものとみなすという提案をしています。

詳細は下図の通りです。下図では第1種ダム水路主任技術者についてのみ記載していますが、第2種についても第1種に準じた案になっています。詳細は参考文献にある審議会資料を御確認下さい。

ダム水路主任技術者 実務経験年数の見直し案

上図は第13回 産業構造審議会 保安・消費生活用製品安全分科会 電力安全小委員会 電気保安制度ワーキンググループ 資料2 『ダム水路主任技術者免状の取得に係る実務経験年数の見直しについて』をもとに筆者作成。

【参考文献】

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