堆砂(たいしゃ)とは、河川上流からダム貯水池へ流入して貯水池内に堆積した土砂のことをいいます。ダムには一定期間(一般的には100年間)に貯まると想定される土砂の量を堆砂容量として、治水(洪水調節)・利水容量とは別に確保しています。
わが国の多くのダムにおいては堆砂が進行しており、国土交通省の調査では、令和3年度時点で全国平均の堆砂率(実績堆砂量/総貯水容量)は、全体平均で13%、発電専用ダムでは31%となっています。
堆砂の進行により懸念される問題は、河床上昇による洪水時の浸水被害増大(ダム上流)、土砂供給減少による河床低下や海岸浸食等(ダム下流)があります。発電への影響としては、ダム運用水位制限や取水制限、有効貯水容量の減少により、発電電力量が減少し、ダム本来の発電ポテンシャルを有効に活用できなくなります。また、近年利水ダムに求められる事前放流による治水効果の低減や、さらには今後予想される気候変動、集中豪雨による流域からの土砂生産量増加も懸念されます。
このような懸念される問題に対して、貯水池内に堆積した土砂または流入する土砂に対する対策としては、土砂流入抑制(貯砂ダム、掘削、治山等)、土砂流下(排砂(排砂バイパス、排砂ゲート)等)、土砂排除(掘削、浚渫等)があります。
ダムの機能を維持し浸水被害等の災害を防止するため、計画段階から管理段階に至るまで、堆砂対策を進めていく必要があります。
【参考資料】