卸電力市場の内、「当日市場(時間前市場)」について「日本卸電力取引所取引ガイド2019.1.22更新」に基づきその概要と最近の取引状況や主な課題について紹介する。
(注記)ザラ場取引とは、時間優先で単位時間毎に買い注文と売り注文が合致する時に取引価格と量が決定される方式。「売り」と「買い」の価格と数量が合致すれば次々と取引が成立しその都度価格が形成されていく。
【最近の取引状況と主な課題】
現状の時間前市場は、スポット市場後の最終的な需給調整の場として位置付けられており、取引ニーズの中心は需要予測誤差の調整となっている。そのため、卸電力取引全体に占める約定量としては、2019年度で1%以下(25.8億kWh)であり、スポット市場での約定量がほとんど(99%以上、2925億kWh)となっている。
今後、再エネのFIP制度への移行、卒FIT電源の発生、インバランス制度の見直しなどを見据えた時間前市場の在り方の検討が必要と考える。つまり、天候に左右される再エネは、実需給に近づけば近づくほど予測はずれが少なくなる傾向があるため、スポット市場取引以降のゲートクローズをより実需給に近づけ、インバランスの発生を抑えることが必要とされる。従って、再エネの主力電源化のためには、ゲートクローズ直前までの取引が可能となるようなシステム整備が必要と考える。