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電力市場の概要(その5)―新たな電力市場(非化石価値取引市場)―

【市場創設の背景】
エネルギー供給構造高度化法は、小売電気事業者に対して電気の非化石電源比率を2030年度に44%以上にすることを求めており、小売電気事業者に非化石電源の一定の調達を義務付けている。小売電気事業者すべてが(特に新電力)、非化石電源を所有することが困難なため、非化石電源に由来する「非化石価値」を証書化し取引することで非化石電源比率の達成を促すために非化石価値取引市場を創設している。

【非化石価値取引市場の概要】

  • 市場管理者:
    日本卸電力取引所(JEPX)
  • 主な取引主体:
    売り手は発電事業者(FIT電源はGIO)、買い手は小売電気事業者
  • 商品の形態:
    電気の買取量(kWh)に相当する非化石証書
  • オークション方式:
    FIT電源(マルチプライスオークション【注記1】
    非FIT電源(シングルプライスオークション【注記2】

    【注記1】
    マルチプライスオークション方式とは、事前に単位時間毎に高い価格から並べた買い注文と成行き価格のみの売り注文で量に合わせて複数の取引価格が決定される方式。

    【注記2(再掲)】
    シングルプライスオークション方式とは、事前に単位時間後毎に高い価格から並べた買い注文と低い側から並べた売り注文の交点で取引価格と量が決定される方式。原則、約定価格より高い買い入札及び安い売り入札が約定することとなる。

  • 非化石証書種類:
    FIT非化石証書(再エネ指定)、非FIT非化石証書(再エネ指定)
    非FIT非化石証書(指定なし)

【最近の取引状況と主な課題】

  • FIT非化石証書について
    初オークションは、2018年5月から運用されており、最近の取引状況としては、2020年1~3月のFIT電気買取量(約210億kWh)に相当する証書が8月に売り出され約定された。参加者数33者、約定量は1億5117万kWh、約定量はFIT電気買取量の0.7%程度、約定価格の加重平均値は国が設定している下限1.3円/kWhに張り付いている。約定量は、2019年度よりは若干上回っているが、賦課金軽減にはほとんど期待できず全体的には低調と言える。今回調達したFIT非化石証書の約定量が昨年度よりも若干上回っているのは、トラッキングシステムの採用などにより再エネ由来の電気を求める企業が増えたためと想定される。
    但し、FIT非化石証書は用途が電気料金プランの提供等に限られ、高度化法に基づく目標達成には使えないこと及び国が設定している最低価格(1.3円/kWh)が高めの水準【注記3】となっていること等から、今後、非FIT非化石証書が売り出されればFIT非化石証書を調達する理由がなくなるのではないかと懸念している。

    【注記3】類似するJクレジットの入札価格推移は、0.88~0.97円/kWh程度(2018~2020年)である。

  • 非FIT非化石証書について
    2020年度から高度化法に基づく中間目標が設定されたため、2020年4月~12月の発電分が対象となり、非FIT非化石証書は11月以降売り出される予定であり、動向を注視することが必要である。特に、国からの最低価格の指定はなく、1円/kWh下回る価格での取引が予想されている。
    非FIT非化石証書の対象となる大型水力などの多くは、旧一般電気事業者が保有しており、旧一般電気事業者が証書を発行しなければ発行量は限られ、多くの新電力が目標の達成が困難となる。国は、発電事業者と小売電気事業者の公平な競争を促進するために、非FIT非化石証書の発行、利用状況を厳正に監視することが必要と考える。
    また、基本的な問題であるが、現状の国の長期エネルギー需給見通しによると非FIT非化石証書は、現状の原子力の稼働状況が続くとすると大幅に不足することなり、高度化法の2030年度に44%以上を確保することは困難となる。今後、国によるエネルギー基本計画の見直しに関する動向を注視することが必要である。

非化石証書の種類
(電力・ガス基本政策小委員会 制度検討作業部会2019.5.31配布資料より抜粋)

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