【市場創設の背景】
ベースロード電源は、「第5次エネルギー基本計画2018年7月」において低廉で安定的に発電できる電源として、原子力、石炭、一般水力(流れ込み式)、地熱が定義されている。また、政府の長期エネルギー需給見通し(2015年7月)において、2030年で56%を供給する見通しとなっている。
このような電源の約9割は、旧一般電気事業者などが保有しているため競争上の障害となっているとして、旧一般電気事業者からの一定の玉だしを前提とし、小売競争の活性化を図る仕組みとしてベースロード市場が創設された。
すなわち、ベースロード市場は、新電力によるベースロード電源へのアクセスを容易にするため、旧一般電気事業者などが保有するベースロード電源の電気(kWh)の一定の供出を制度的に求め、新電力が年間固定価格で購入可能とする市場である。
【ベースロード市場の概要】
当初は新電力の販売電力量の5割程度、供出価格には上限価格を設定
【最近の取引状況と主な課題】
2019年7月より本市場によるオークションが開始されている。最近のオークション結果としては、2021年度受渡分について3回目のオークションが2020.11.30に終了したところである。2020年度受渡分及び2021年度受渡分ともオークション結果によると約定量年間合計は、それぞれ46.7億kWh,29億kWh程度である。旧一般電気事業者からの供出量にもよるが、国内の年間発電電力量(2019年度分、約8600億kWh)の1%にも満たない。また、国の委員会でも審議中でもあるが、ベースロード市場は常時バックアップ(旧一般電気事業者が新電力に対し不足している発電量を売電する供給形態)と政策目標が一部重複することからベースロード市場での調達への移行策について検討中となっている。
いずれにせよ当初の目的でもある競争を通じた小売競争の活性化が図れるよう市場監視を含めた改革が必要と言える。