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電力市場の概要(その8)
―新たな電力市場(間接送電権取引市場)―

【連系線利用ルールの見直しと市場創設の背景】
 従来の地域連系線利用ルールは、「先着優先」と「空おさえの禁止」を原則とすることが定められていた。このようなルールを継続する場合、一刻一秒を争って申し込み順位を争う不毛な競争が生じる恐れがあることなどからエリアをまたぐ電力取引は、2018.10.1より卸電力市場(スポット市場)を介して行う「間接オークション」ルール(メリットオーダー)に変更された。

このため、「間接オークション」の下で、地域連系線を利用する取引を行うと地域間での価格差(値差)が変動するリスクを負うこととなる。つまり、売り手のエリアの価格が安くなり、買い手のエリアの価格が高くなれば、取引の当事者は取引する電力を安く売って高く買うこととなる。このような値差の変動リスクをヘッジするため「間接送電権取引市場」が2019年4月に創設された。

【間接送電権とは】

  • エリアをまたいだ(連系線利用)取引において、連系線容量が不足(市場分断発生)することによって、エリア間の電力価格差(値差)が発生する
  • 発電事業者または小売事業者のいずれかが、間接送電権を予め購入(X円/kWh)することによっていくらになるか分からない値差を固定することが可能となる。
  • すなわち、間接送電権とはエリア間の値差を受取る権利、または支払う義務である。
    (電気を送電する権利ではない)

なお、上記間接オークションルールについては、地域連系線を利用する場合のルールであるが、同様に基幹送電線を利用する場合にもメリットオーダーに基づくルールに転換していくことを基本方針として現状検討されている状況である。

【間接送電権取引市場の概要】

  • 市場管理者:日本卸電力取引所(JEPX)
  • 主な取引主体
    売入札:JEPX(連系線空容量と経過措置計画量をもとに発行可能量を計算)
    買入札:電気の実物を売買できる事業者
  • オークション方式:シングルプライスオークション
  • 商品の形態
    期間  :週間24時間の商品(土曜~金曜)
    取引  :2か月前の20日以降に4~5週間分の週間商品を取引
    入札単位:最低入札量0.1MW、 最低入札価格0.01円/kWh
  • 対象連系線
    北本直流幹線(北海道~東北:逆方向)、東京中部FC(東京~中部:順・逆方向)、本四連系線(中国~四国:逆方向)、阿南紀北直流幹線(関西~四国:逆方向)、関門連系線(中国~九州:逆報告)
  • 精算方法
    スポット市場での売買代金決済と同タイミングで実施

【最近の取引状況について】
 2018年10月より本市場による間接オークションが開始されている。対象とした連系線については、市場分断の発生状況や分断時の値差を踏まえて設定されている。具体的には、期待する値差が0.01円/kWhを上回る蓋然性が高いもの、また、ある程度の取引量が見込まれることを基準として上記の通り5連系線が設定されている。

2020年(約定日:2020.4~2021.1)のJEPXのオークション結果【注記】を見ると、間接送電権の取引は限定的であるものの「中部→東京」、「東北→北海道」において、約定価格1円/kWh程度、取引量も対象月で数百MW規模のニーズがあることが判明、一定の成果が出ているものと考えられるが、事業者の利便性等も踏まえながら継続的に検討を行っていくことが必要と考える。
【注記】http://www.jepx.org/market/kansetsutr.html 参照

間接送電権の概要
(電力・ガス基本政策小委員会 36回制度検討作業部会2019.12.6配布資料より抜粋)
間接送電権の概要

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