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洋上風力について(その6)
―事業者選定の評価に関する考察―

洋上風力について(その5)にて記載の通り、経産省資源エネルギー庁と国土交通省港湾局との合同部会(6月23日開催)で事業者選定の評価に関する修正案が示され、その概要について紹介したところである。ここでは事業者選定の評価に関する修正案について、気が付いた点について述べる。

【供給価格点評価について】

供給価格評価点は、「最高評価点価格を別途設定し、事業者が提案する基準価格が市場価格を十分に下回る一定価格(最高評価点価格)以下の場合、一律満点(120点)として評価する」としている。最高評価点価格はFIP制度を前提として設定されると思われるが、最高評価点価格の設定の考え方を明らかにし公表することが必要である。いずれにせよ、洋上風力は、テイクオフしたばかりの黎明期の事業であり、風力事業者の参入意欲が委縮しないよう慎重な対応を期待したい。

【セントラル方式【注記】との関連について】

初期開発を国が実施するセントラル方式の導入後は、基本的に価格競争が軸になると思われるが、現時点ではセントラル方式導入前を前提とした審査基準を議論するものである。修正案では、「日本版セントラル方式の導入等の状況も踏まえつつ、必要に応じて評価の考え方は適宜見直すこととする」としているが、日本版セントラル方式の導入前と後では何が評価のポイントとなるのかを明確に位置付けることが必要と思われる。
【注記】日本版セントラル方式とは、洋上風力の初期段階で重複して実施される調査については、政府・政府に準ずる主体が実施しデータを管理することをいう。具体的な調査項目としては、風況調査、海底地盤調査、気象海象調査、環境アセス関連調査、漁業実態調査、系統確保などがあり、現在JOGMEC及び NEDOにて調査、実証中である。

【事業実施実績について】

事業実施実績は、従来の独立した評価項目(30点満点)から、「トップランナーがいないことに加えて事業実施体制と密接不可分な評価要素であるため事業実施体制(10点満点)の中で評価する」としている。洋上風力の経験を有する外資と組むことでの応札も可能であり、ラウンド1ではほとんどの応札者が外資と組んでいる。実績があまり評価されないことにより経験豊かな外資が日本市場に対して興味を失うことを懸念する。

【事業計画実行面(建設と運転)について】

事業計画の実行面として、「運転開始前(15点満点)と運転開始後(5点満点)で評価する」としており、運転開始後の配点が低評価となっている。

運転開始までと運転開始後以降の配点については、国の会議においても各社で異なる意見が出ているが、運転開始以降の配点が低すぎると思われる。運転開始後のトラブルに対処しながら稼働率を高く、発生電力を多くする計画に対して評価を高くしても良いのでは。特に、建設した事業者が運転開始以降に発電事業を売却し資金を回収することもありうる。

【複数区域同時公募時の落札制限について】

落札制限については、「同時に公募する区域数や出力規模を踏まえて公募ごとに適用有無等を判断する」と修正された。国の会議においては、各社から落札制限必要、不要等を含めて様々な意見が出ているが、洋上風力はまだ黎明期の事業であり、大臣発言にもあるように多数の事業者に参入機会を与える観点からも落札数に制限を設けることは妥当と思われる。

洋上風力については、エネルギー基本計画で2030年までに5.7GWを目標としており、目標達成のためには、現状のリードタイムからすると毎年0.5GW~0.6GW程度/公募の案件形成が必要とされる。しかしながら、最近のエネルギー安全保障重視の観点から欧州を主体に洋上風力事業前倒しの動きが現実になっており、機器・資材が欧州へ流れることから、一定規模以上の募集量(最低でも1GW/区域)でないと風車メーカーに相手にされない懸念があり、今後、わが国においても1区域あたりの公募容量の更なる大規模化が必要とされる。

事業実現性の評価方法案(再掲)
(経済産業省資源エネルギー庁と国土交通省港湾局の合同会議(第 12回)2022.5.23配布資料を抜粋)
事業実現性の評価方法案(再掲)

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