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洋上風力について(その9)
―EEZへの展開に向けて―

現状、再エネ海域利用法に基づき我が国の領海内(12海里:約22km)での導入拡大の取組を行ってきているが、海域が狭いことに加えて漁業者や自治体との難しい交渉問題が常につきまとう。このままでは、政府の2040年3000~4500万kWの案件を形成するという目標の達成は難しいと思われる。政府内では、この再エネ海域利用法の適用範囲をEEZ(排他的経済水域)まで広げることを視野に入れ、洋上風力発電の実施に関して国際法上の諸課題に関する検討会(内閣府総合海洋政策推進事務局)を立ち上げた。

我が国のEEZ(200海里:約370km)の面積(領海、接続水域を含む)は、約447万km2であり世界6位である。国土面積(約38万km2)の約12倍、領海の約10倍程度の面積があり、EEZをすべて利用できるとすれば欧州並みの大量導入が可能となる。制約が多い日本を嫌って韓国等にシフトする動きをみせる海外大手風車メーカーを呼び戻すことにもつながり大きなメリットがある。

(注記)
日本のEEZは、約447万km2であるが、日本の最南端である沖ノ鳥島が、2018.3月時点で満潮時に16cmしか海面上に顔を出さず水没の危機にさらされている。もし気候変動により海面が上昇し沖ノ鳥島が消失した場合、日本は日本の領土以上の面積(約40万km2)の経済水域(資源)を失うことになる。

現状の国土交通省「第3期 海洋基本計画」は、平成30年5月15日閣議決定されているが、5年ごとに見直しを行い、必要な変更を加えるとされている。「第3期 海洋基本計画」では、海洋の産業利用の促進として「洋上風力発電に関し海域利用ルール等の制度整備を加速」との記載はあるが、EEZ内の開発については範囲に入っていない。

内閣府総合海洋政策本部では、洋上風力発電のEEZへの拡大に向けた法整備等を含めて見直しを行い、令和5年5月頃の閣議決定を目指して、第4期海洋基本計画案の検討を進めている。

既に、海外では(アメリカ、欧州の各国、韓国等)領海外での洋上風力の開発について進めている。日本においてもEEZ内の洋上風力開発が進めば、日本の主権を国外に明確に示すこともできるものと考える。

国際海洋法条約(UNCLOS)に基づく海域
(洋上風力発電の実施に関して国際法上の諸課題に関する検討会R4.10.6資料より抜粋)
国際海洋法条約(UNCLOS)に基づく海域
日本の領海等概念図
(海上保安庁ホームページより)
日本の領海等概念図
国土面積 約38万km2
領海(含:内水) 約43万km2
接続水域 約32万km2
領海(含:内水)+排他的経済水域(含:接続水域) 約447万km2
世界の排他的経済水域面積ランキング
(シップ・アンド・オーシャン財団「海洋白書2004創刊号」より)
世界の排他的経済水域面積ランキング
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