岩手県松尾八幡平地域の地熱資源を利用した地熱発電所(シングルフラッシュ蒸気タービン、定格発電量7,499kW、送電出力7,000kW)であり、22年ぶりの7,000kWを超える地熱発電所である。
長年培った掘削ノウハウや地元との良好な関係によって運転開始に至っている。現状、大きな問題がなく順調に稼働している。また、蒸気タービンに「軸流排気型」を採用し、発電効率のアップと建屋高さの低減、設備全体のコンパクト化を実現している。
今後多くの事業者の地熱開発参入に繋がり、日本国内での地熱発電容量の拡大に貢献するものとして評価された。
本導入設備は岩手県松尾八幡平地域の地熱資源を利用した地熱発電所で、2019年1月29日に運転を開始した。 日本国内における7,000kWを超える地熱発電所の新規運転開始は、大分県の滝上地熱発電所以来22年ぶりである。開発は2006年度から2010年度にかけて実施されたNEDO地熱開発促進調査の結果を踏まえて行われ、2012年度以降は公的支援としてJOGMECによる助成金制度、資本金出資制度および債務保証支援の全てが適用されている。また、建設計画策定当初から地元八幡平市と連携した取組を継続しており、深く地元の理解を得ながら開発を進め、軸流排気型シングル・フラッシュ蒸気タービンを採用して生産井3本、還元井2本にて順調に発電を継続している。
本地域では2015年度の総合噴気試験でシリカ・スケールの付着が確認され、熱水のpH調整によるスケール付着防止策が導入された。また、生産域へ還元熱水の干渉がないことは、総合噴気試験時のトレーサー試験により確認されている。
環境配慮として、上述の軸流排気型蒸気タービンを採用して設備全体をコンパクト化したほか、発電所建屋の外壁を周辺の公共施設と同系色にして統一感を図ることで景観にも配慮している。また、発電所建屋を公共道路から出来るだけ離し、通行人へ圧迫感を与えないような工夫もしている。地元貢献としては、送電電力の一部を再生可能エネルギー電気特定卸供給会社を介して地元八幡平市の公共施設へ供給し、電力の地産地消を実現しているほか、蒸気凝縮水の一部を地元八幡平市へ無償提供する予定でもある。
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