電力系統が本土と連系していない離島では、電力使用量が小さく、電力需要や発電量の変動による電力品質への影響が大きくなる特徴がある。そのため再エネ(風力、太陽光)の出力変動対策として、2種類の蓄電池を組み合わせたハイブリッド蓄電池を導入し、隠岐諸島の内燃力発電所と一体的に制御する需給運用を商用の電力系統で実現した。
ハイブリッド蓄電池としては、長期変動対策に適したNAS電池(4,200kW)と、短周期変動対策に適したリチウムイオン電池(2,000kW)を組み合わせ、導入コスト低減、システム効率の向上、充放電管理の改善が図られている。
この独創的な取組みは、日本国内のみならず、海外の離島にまで適用範囲を広げる波及性があるものとして高く評価された。
電力系統が本土と連系していない隠岐諸島において、自然条件等により発電量が大きく変動する再エネ(風力、太陽光)導入量の更なる拡大には、蓄電池等を活用した再エネ発電量の変動対策が必要であった。
本プロジェクトは、特性の異なる2種類の蓄電池を組み合わせた「ハイブリッド蓄電池システム」を設置することで、導入コストの低減(約25%)やシステム効率の改善(所内電力を約30%低減)、NAS電池の充放電管理の改善(充放電運転範囲を20%-80%から10%-90%に拡大)を図りつつ、自動運転により余剰電力と周波数変動を吸収し、内燃力発電機と一体的に制御することで再エネ導入拡大に取り組んだものである。また、再エネ導入にあたっては、地元自治体の協力を得ながら事業者を公募し、PR活動も地域一体となり推進した。
その結果、電力品質を確保(周波数滞在率の向上)しつつ、再エネ導入量は約2,300kWから約8,000kWまで短期間で拡大した。更に、本プロジェクトで得られた設備の導入・保守・運用等に関する技術的知見は、国内外の離島への展開が期待でき、本設備は、国内のみならず、太平洋島嶼国やASEAN各国から多くの方々にご視察いただいている。
【連絡先】