地元住民の声を踏まえて廃止された水力発電所を再生させることを目標に再開発を行った小水力発電設備(195kW)である。また、行政からのアプローチと地元住民の理解により新たに2か所の小水力発電所を建設、導入(120kW+140kW)している。
再生発電所では既存砂防ダムを利用、また、他の2発電所は用水路を活用したもので、いずれの発電所も問題なく稼働している。現状、定期的に地域住民とのコミュニケーションを行うなど地域の要望を踏まえて取組んでいることが評価された。
~かつての地域シンボル廃止発電所の再生~
新宮川発電所は、長野県駒ケ根市中沢(旧中沢村)で県内公営水力の先駆けとなる水力発電所として、大正8年から昭和36年まで村内全戸に電気を供給し、まさに地域のシンボルとして住民の皆様に親しまれた発電所でしたが、昭和36年の豪雨災害による発電設備の損壊により廃止となっていた。自治体の新エネルギー導入の推進と地元の発電所復活を望む声が挙がり、当社へ発電所再生の協力要請をいただいた。地域住民との合意形成、利害関係者との協議調整を経て、環境、景観に配慮した発電所が完成した。当時の施設を再利用することは出来なかったが、新たなシンボルとして再生することができた。
~日本一の小水力発電のまち・水資源の有効活用~
三峰川本門寺第一・第二発電所の所在地となる静岡県富士宮市は、富士山から湧き出る豊富な水資源から「日本一の小水力発電のまち」として、有数の小水力発電所数を誇っている。取水している北山用水は由緒ある歴史的背景を持ち、現在も灌漑用水や上水道水源として活用され、多くの地元住民に親しまれている。このように、古くから水資源の恩恵にあずかっている地域だからこそ、地元の理解および地域との共存が強く望まれ、自治体、用水管理者および地元自治区と協議を重ね、取水設備の形状や施工方法を工夫し、建設工事中はもとより発電所運転中も地元の用水運用に支障を来さないよう対策を行い、地域に調和した発電所が完成した。
~地域との共生~
私たちの取組みは、地域に根差した水力発電所を安心・安全に運営していくため、地元の歴史に寄り添い、地元地域とのコミュニケーションにより、信頼関係を築き共存していくことを最も大切にしている。水力発電所は50年、100年と長きに亘り地元で事業を継続していくことから、これからも地域とのコミュニケーションを図り、環境教育や次世代の人材育成へ繋がるよう、関係者と協調して水力発電事業の啓蒙と共生を図っていきたいと考えている。
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