複数自治体・複数企業が出資する地域新電力を立ち上げ、地域のバイオマス発電、太陽光発電、地熱発電など再エネ電源と契約し、地域の市役所、体育館、中学校等の公共施設(450件)及び地元ケーブルテレビ事業者を介した一般家庭、民間企業等(約1万件)に電力を供給する取組みである。新電力の先駆けとして幅広く活動、需給管理も自社で行っている。安定した経営を実現しており、他地域への展開が期待できるものとして高く評価された。
ローカルエナジーは、「エネルギーの地産地消による新たな地域経済基盤の創出」という理念のもと、2自治体(米子市・境港市)、5地元企業(中海テレビ放送、山陰酸素工業、三光、米子瓦斯、皆生温泉観光)からの出資による地域新電力である。
2016年4月から小売電気事業を開始し、分散かつフレキシブルに変動する新エネルギーの地産地消を推進するため、需要側もフレキシブルに変動させる「地域共生型のエネルギー地産地消のモデルづくり」を目指した。 そこで、新電力の全業務を自社で直営化し、分散型電源を地産地消するエネルギーマネジメント人材を育成しつつ、米子市クリーンセンターや地元の再生可能エネルギーを調達し、米子市や境港市、周辺自治体の公共施設への電力の供給を行っている。また、米子市内の下水処理場に消化ガス発電の整備を進めており、これら取組によって市民が排出する一般廃棄物や下水汚泥からエネルギーを回収し、公共施設等の電気として利用する仕組みを構築しているところである。
さらに、地元ケーブルテレビ事業者を介して、鳥取県西部の約1割を占める一般家庭等に電力供給を行い、市民参画によるエネルギー地産地消モデルを構築するとともに、米子市との共同事業として避難所となる公民館へ蓄電池を設置し、平常時は仮想発電所(VPP)として運用し、停電時は非常用電源として活用する等、地域のレジリエンス向上に取り組んでいる。
あわせて、エネルギー地産地消に対する市民理解の醸成のため、小学校の社会科見学、中学校・高校の講演会等の普及啓発活動を行う一方、全国からの行政視察受入、自治体等の要請に対応した講演やワークショップ等の開催、海外講演等にも取り組んでいる。行政視察を経て自治体出資の新電力が設立されたケースも増えており、今後も新エネルギーの活用によるエネルギー地産地消モデルの横展開を継続して取り組んでいく。
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