本事業は、さいたま市や住宅事業者が構築した分譲住宅(51戸)を核としたスマートコミュニティ事業である。各住戸の屋根上に設置した太陽光パネル(約4.4kW×51戸)で発電した電気は一旦チャージエリアに集め、セントラル型のパワコンで変換し、送配電網を用いて特定エリア内へ配電する。発電した電気をコミュニティ内で自家消費しつつ、余剰分は蓄電池やEVに蓄電し、夜間等の電力に活用している。
発電した電気をチャージエリアに集約しパワコンを介して配電する「電力融通」の考え方など先進性が認められる。また、他地域においても横展開可能なシステムとして評価された。
本事業は、さいたま市の地域活性化総合特区「次世代自動車・スマートエネルギー特区」事業における脱炭素循環型街づくりプロジェクトである。さいたま市美園地区にて、さいたま市、株式会社中央住宅、株式会社高砂建設、株式会社アキュラホームの住宅メーカー3社と共同で推進する「スマートホーム・コミュニティ第3期」にて、再生可能エネルギーの最大活用とレジリエンス性の向上をコンセプトとした分散型エネルギーシステム「エネプラザ」を構築する。
まず、全51戸の住宅に太陽光パネルを設置し、各戸で発電した電気は街区内でLooopが整備する特定送配電網(自営線)を通じて、直流のままチャージエリアに集約する。その後、セントラル型のパワコンにて交流に変換し、各戸の電力使用状況に応じて分配を行うという51戸で発電した電気を街区全体で活用する電力融通の仕組みを構築した。また、余剰電力は系統に逆潮流することなくチャージエリア内の蓄電池やEV(電気自動車)へ充電し、夜間には放電して各戸へ供給する。
さらに、街区内の再エネを最大活用するため、各戸に設置されるハイブリッド給湯器の貯湯のタイミングを街区内の余剰電力が多く出る時間帯に給湯タンクのお湯の沸き上げを行う制御を実施する。また、街区内の余剰電力に応じて、従量料金単価が変動する電気料金プランを提供。余剰電力が多く出ると予測される時間帯の単価を安く設定することで、需要家への経済的メリットを創出するとともに電気利用を余剰電力が多く出る時間帯へのシフトを促す。
また、街区内の太陽光パネル、蓄電池およびEVで自立運転が可能なマイクログリッドシステムを構築。災害等で商用系統が停電してしまった場合においても、街区内へ継続して電力を供給することができ、街区内のレジリエンス向上を実現する。
これら街区内に設置される太陽光パネル・蓄電池・EVと「Demand Side Flexibility」の仕掛けを組み合わせることで、街区内の再エネ自給率は60%以上を達成する見込みである。さらに、商用系統から調達する電力には非化石証書を組合わせることで、街区内では実質再エネ100%の電力供給を実現する。
【連絡先】