風車ブレードの回転に伴い、その下流側には「風車ウエイク」と呼ばれる風速欠損領域が形成され、期待した発電量が得られないことがある。このためウエイクについて正確に予測するモデルを開発、導入することによりウィンドファーム全体の経済性向上などに貢献している。
洋上風力の拡大が今後見込まれる中で、事業者によるウインドファーム建設前の発電量評価/経済性評価に大きく寄与するものとして評価された。
従来技術(欧州型ウエイクモデル)は非線形流動現象である風車ウエイクの相互干渉現象の正確な予測は不可能であった。我々は複数の風車群から構成される大規模洋上ウィンドファームにおいて、非線形流動現象である風車ウエイクの相互干渉を正確に数値予測することを目的とし、「CFDポーラスディスク・ウエイクモデル」と称する日本型ウエイクモデルを新たに開発した。本モデルは風力事業者が主体的に、かつ事業性評価を厳密に行うことを目的として開発された物理モデルである。
風力事業者の立場から、複数の風車群から構成される大規模洋上ウィンドファームにおいて、風車ウエイクの相互干渉現象を正確に予測し、ウィンドファーム全体の経済性評価および各風車の耐久性評価(寿命評価)を実施可能な手法が存在しなかった。本研究のブレークスルーは、風力事業者の立場から、複数の風車群から形成される風車ウエイクの相互干渉現象を正確に予測可能な新しい日本型ウエイクモデルの開発に成功した点にある。一連の操作は、「洋上版リアムコンパクト・ソフトウエア(日本型CAEソフトウエア)」として、一般的なWindows搭載のパソコン1台で可能である。風車ウエイクの相互干渉現象を正しく予測できることで、洋上風力1サイトあたり数十~数百億円の費用低減へ繋がる(低コスト化への貢献)。
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