本事業は、風力発電の導入拡大を目的に、電力系統側に大型の蓄電池を設置したものである。系統側に世界最大級のレドックスフロー(RFと呼ぶ)電池を導入し、発電事業者側の個別の蓄電池導入を不要とし、系統の安定化に貢献していることが評価された。
現在順調に稼働しており、海外を含めRF電池の取り組みが進んでおり、日本独自の技術として普及を期待する。
脱炭素社会の実現として導入が進む再生可能エネルギーのうち、太陽光発電や風力発電など自然現象により発電される電気は、気象条件によって出力が大きく変動する。この出力の変動が電気の品質に悪影響を及ぼすことがないよう、北海道電力ネットワークは、技術的な検証を進めながら再生可能エネルギーの連系拡大に取り組んでいる。その一つとして、風力発電の導入拡大を目的に、発電事業者側で個別に蓄電池を併設するのではなく、電力系統側に大型の蓄電池を設置する新たなスキームで、設置した系統側蓄電池に係る費用を共同負担することを前提とした風力発電の募集を「系統側蓄電池による風力発電募集プロセス(Ⅰ期)」として実施した。これにより、風力発電設備の優先系統連系事業者15件16.2万kWが決定され、連系に必要となる再生可能エネルギーの発電出力平滑化や周波数調整を実現する系統側蓄電池として、住友電気工業のレドックスフロー電池設備の導入が決まった。2022年4月から北海道電力ネットワークにより運用が開始され、風力発電の系統接続に貢献している。
一般送配電事業者による系統側運用を目的としたレドックスフロー電池の設置は国内初であり、設備容量5.1万kWh(1.7万kW×3時間)はレドックスフロー電池として世界最大級の規模となる。また、環境にやさしく(電解液のリユースが可能)、安全(火災リスクが極めて低い)というレドックスフロー電池の特長を活かし、設備導入から運用、保守、廃棄までを含めた21年間の事業として導入された。
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