本取組みは、CO2フリーの電力・ガスを利用した地域熱供給事業である。電力は非化石証書を活用し、再生可能エネルギー100%としており、ガスはカーボンニュートラルな都市ガスとすることで、顧客の賛同を得て、脱炭素化した熱エネルギーを供給していることが評価された。尚、地域冷暖房分野において、熱料金体系に環境価値を織り込んだ料金制度は全国で初めてである。都市部での脱炭素化への取組として、他地域への適用が期待される。
【全量CO2フリーの実現:地域共生に向けて】
2050年の脱炭素化社会の実現に向けて、神戸熱供給㈱では、1998年4月から神戸東部新都心地域で供給してきた熱エネルギーを2022年4月から全量脱炭素化しました。
これは、“熱”を製造する電力は関西電力㈱の『再エネECOプラン』を、同じく都市ガスは大阪ガス㈱の『カーボンニュートラルな都市ガス』を採用することにより実現したものです。
この脱炭素化の取り組みは、関西エリアの地域冷暖房分野で初であり、また、“熱”を製造する電力・ガスの全量脱炭素化は全国初となります。
なお、2022年度の実績では年間2,382トンのCO2の実質削減に寄与しており、今年度(2023年度)も同程度のCO2削減を見込んでいます。
【環境価値加算の導入】
今回の脱炭素化に伴い、熱料金に環境価値加算を取り入れ新しい料金システムとしました。また、この実質的な料金アップに対して新熱料金サービスの形でお客様へベネフィットを提供させていただく事としました。
新料金システムでは、環境価値加算は熱料金の従量料金に取り入れています。環境価値加算はCO2フリーエネルギーの調達費用分のみを環境価値加算の料金として、毎年のエネルギー源調達価格に連動した変動制としています。
また、新熱料金サービスとして、環境価値加算分の料金アップを基本料金のデマンド相当に換算し、これを契約デマンドに上乗せした許容デマンドを新設しました。お客様側では、この許容デマンドまでのより広い範囲での熱利用ができるようになり、ご利用いただきやすくなったと考えています。
地域冷暖房分野での環境価値加算を盛り込んだ本料金体制の確立は、他の地域冷暖房より先行して全国初となります。
お客様の環境への意識が高く、全てのお客様からご賛同をいただいた事によって、この全量脱炭素化を実現しております。
【高効率運転の実現】
弊社のエネルギー利用システムの主な特徴は、①神戸東部新都心地域には業務・研究・文化・教育施設など様々な熱需要形態のお客様がおられ、年間を通じて冷房と暖房の需要があり、その需要パターンに見合った5モジュールのヒートポンプを導入していること(これによって、年間稼働率を60%程度までアップ)、②熱源機器は電気とガスのベストミックス方式で構成しており、冷房で活用される冷水戻りの熱を回収して、ヒートポンプで温水を製造する冷温同時取り出し可能なシステムを導入していること、③各種熱源機器からの冷却水排熱を回収する排熱回収型ヒートポンプで温水を製造していることにあります。
このようなエネルギー利用システムによる省エネ運転に、最新鋭の高効率熱源機器への更新を併せ、年間を通じて高い成績係数を実現しています。2022年度は成績係数0.979/年(ネット値)となり、地域冷暖房事業の全国平均と比較して高い値を維持しています。
神戸熱供給㈱では、脱炭素化した熱供給と高効率・省エネ運転を通して、地域・街全体の低・脱炭素化に引き続き貢献してまいります。
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