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新エネルギーの導入促進に関する提言[令和7年度]


一般財団法人新エネルギー財団は、第14回新エネルギー産業会議において、「新エネルギー」の導入促進に関する提言を取りまとめました。 今年度の提言は「太陽エネルギー」、「風力発電」、「水力発電」、「地熱エネルギー」、「バイオマス」、「廃棄物発電」、「地域エネルギー」の7つの分野です。
今後、政府関係等関係各位に意見具申を行ってまいります。

ここではその概要をご紹介いたします。

※この概要は下記PDFからもご覧頂けます

新エネルギーの導入促進に関する提言[令和7年度]概要

 

太陽エネルギーの普及促進に関する提言の概要

太陽エネルギー委員会

提言1.コーポレートPPA推進等を通じた再エネ発電事業の包括的支援

再エネ発電事業拡大には、FIT/FIP制度に過度に依存しないコーポレートPPA(以下、CPPA)の普及が重要であり、そのためには発電事業者だけでなく、需要家や系統蓄電池事業者を含む包括的な支援策が必要である。
需要家側では、省エネ・非化石転換法に基づく評価制度のエネルギー全体の非化石比率を軸とした仕組みへの改善や、新築の非住宅建物に太陽光設置またはCPPA契約の導入義務化を提案する。
また、太陽光発電の出力抑制時間を減らすには、ディマンド・リスポンス普及が不可欠であり、DRready機器の導入促進やスマート化指標の整備などを通じて再エネ普及拡大の基盤を強化する必要がある。
蓄電池については、出力制御回避や収益向上に寄与する一方、土地やコスト面の課題があるため、発電所と同じ送配電エリアの系統蓄電池を併設扱いとする柔軟な運用を認める制度設計が必要となる。
これらの施策を総合的に進めることで、太陽光発電とCPPAの自立的な普及を実現し、再エネ拡大とカーボンニュートラル達成に向けた確かな基盤を構築できる。

提言2.FIP制度の改善

FIP制度は各種再エネ発電所(地上設置型のみならず、屋根置きなども含む)の自立を目指す過渡的な仕組みであり、現状ではCPPAの普及を支える役割を果たしている。
参照価格決定の複雑さや基準価格上限の設定方法は、投資判断や資金調達に影響を与えるため、非化石価値とFIPプレミアムの関係整理や、非化石証書価格の最低価格引き上げなど、再エネ価値を適切に評価する仕組みが求められる。
また、FIPを活用したCPPAでは、地域別の市場価格差によりプレミアム価値の不均衡が生じている。基準価格上限が全国一律であることが、関東以西での収益性低下や需要地近くでの発電所開発の難しさにつながっている。短期的な対応として、基準価格上限の設定に地域別市場の状況を考慮するなど、プレミアム価値の平準化を図る施策が必要である。

提言3.アグリゲーター、バーチャルPPA推進による再エネ発電事業の拡大

アグリゲーターは、再エネ発電の予測、売電先確保、インバランス対応などで有効な機能を果たし、事業の収益予見性や継続性を高める役割を担う。特にFIT終了後の太陽光発電事業者の集約においても重要である。しかし、電力市場の詳細設計が過渡期であり、制度変更の可能性がバランシングリスクの予見性を低下させ、参入やコスト低減が進んでいない。将来方針の早期確定や、研究開発、会計制度、認知度向上など多面的な支援が必要であり、地域主導のアグリゲーター連携事業など具体策も検討すべきである。
バーチャルPPAは、送配電エリアを問わず再エネと需要家を結び、脱炭素化に対応できる有効な手段である。我が国の地理的条件を踏まえ、CPPA普及のボトルネック解消に寄与する。しかし、市場変動リスクやインバランス負担、環境価値取引の複雑さが普及の障壁となっている。このような現状をふまえると、契約ガイドライン・モデル契約書の策定や、短期的な対策として価格変動リスクに対する支援制度の創設など、導入拡大に向けた施策も必要である。

提言4. 再資源化費用の低減と高度リサイクル事業の活性化

太陽光パネルの大量排出時代を見据え、太陽光発電の最大限導入と資源循環を両立させる持続可能なリサイクル体制の早期確立が求められている。そのため、再資源化コスト低減と処理技術の高度化を両輪とする「再資源化コストダウン・高度化ロードマップ」を早期に策定し、将来目標価格を明示したバックキャスト型の制度設計を行うことが重要である。
あわせて、製造事業者、輸入業者、発電事業者、再資源化事業者等が参画する業界横断的な協議体制を構築し、事業予見性を確保しながら継続的に施策を推進すべきである。
さらに、GHG削減効果や資源循環効果といった再資源化水準に応じた評価指標を市場全体で活用し、単純リサイクルと高度リサイクルを明確に区分した上で、適切な重みづけを行うことが必要である。
これらの評価指標に基づき、排出事業者が高度なリサイクル手法を選択しやすくなるよう、段階的かつ透明性の高いコスト支援の仕組みを整備することを提言する。

提言5.太陽光パネルのサーキュラーエコノミーシステムの構築

太陽光パネルのライフサイクル全体を通じて、製品設計・排出時の回収・再資源化・設備更新を一体的に推進する制度整備が求められる。
まず、解体・分別の容易性や長寿命化を重視した環境配慮設計を促進するため、技術開発の支援とともに、太陽光パネルを改正資源有効利用促進法の対象とするなど、製品設計段階からの取組を強化すべきである。
あわせて、事業用・住宅用の特性を踏まえた収集運搬ネットワークを整備し、排出から再資源化に至る全工程でトレーサビリティを確保する管理システムを構築する必要がある。
さらに、広域回収を前提とした再資源化事業の拡大や、国の関与による制度的措置を通じて、全国どの地域でも高度な再資源化が可能となる事業体制を確立すべきである。
加えて、ガラスを中心とするリサイクル材の用途開発や水平リサイクル市場の創出、有価金属の分離・回収、さらにはシリコンの国内循環を可能とする環境整備を進め、資源の国内活用を徹底することが重要である。
これらと併せ、リサイクルとリプレースを一体的に推進し、設備の維持管理から適正廃棄・更新までを継続的に把握・促進する仕組みを構築すべきである。




 

風力発電システムの導入促進に関する提言の概要

風力委員会

1. カーボンニュートラルとエネルギー安全保障の実現に向けた風力発電の産業力強化

1.1. 魅力的な国内洋上風力発電市場の形成に繋がる導入目標の設定

我が国の再生可能エネルギーの主力電源化に向けた「切り札」である洋上風力発電の「最大限の導入」と「エネルギー安全保障」を両立させ、かつ国内市場の拡大を自国の経済成長に繋げるためには、政府が導入目標・導入計画を通して市場の規模と継続性についての予見性を示すことが重要である。特に大型風車関連機器の産業力を強化し、コスト低減につながるような国内にサプライチェーンを形成していくためには、投資回収や事業の継続に必要となる量産の規模を意識した導入目標の見直しや計画の策定が必要である。
 

1.2. 国内風車産業の現状を踏まえた産業育成施策の実現

2010年前後から国内企業における風車関連機器の売上高は減少を続けており、2020年前後に相次いだ国内風車メーカーの風車製造事業からの撤退を経て、かつて陸上風力市場に向けて構築された国内のサプライチェーンは既に競争力を失っている。洋上風力市場の立ち上がりを契機に国内企業が新たに参入、あるいは再参入し、競争力を獲得するためには初期段階における資金的な支援や国内サプライチェーンの形成に資する計画がより高く評価される公募入札制度に加えて、風車メーカーないし主要サプライヤーの工場等、産業集積の中心となる生産拠点が国内に立地することが重要である。
 

1.3. 洋上風力発電の導入拡大を支える人材の育成

洋上風力発電の導入拡大を実現するためには、その前提となる施工、O&M等、洋上風力産業を支える人材の確保・育成が必須であるが、洋上ウィンドファームの建設に携わった経験を持つ人材は国内にはまだまだ少ないのが実情である。風車メーカーを中心とした海外企業からの技術移転を促進するとともに、特に人材不足が既に顕著である、あるいは将来の不足が見込まれる専門技術者・専門作業員については産学官連携により教育プログラムを充実する等により実務経験に依らない育成の場を用意することが重要である。
 

1.4. 海上輸送・基地港湾にまつわる制約の解消

洋上風力発電の導入にあたっては、大型機器の輸送や風車の据付工事において船舶が大きな役割を担うが、特殊かつ大型船舶の不足がクリティカルな制約事項となっている。これら船舶整備の状況を認識・把握した上で現実的な導入計画となるような配慮に加えて、市場の予見性を高め船舶保有・運行会社の投資を促す必要がある。また、合わせて内航船員の育成、基地港湾の仕様がボトルネックとならないように整備を進めることが重要である。

2. 風力発電の導入拡大を推進するための発電事業予見性の確保

2.1. 陸上風力サプライチェーン増強への支援

陸上風力の年間導入量は1GWに満たない数字で推移してきているが、これは事業者による案件形成が進んでいないことだけでなく、建設工事に関わる各種リソースが十分でないことについても目を向けるべきである。特に、大型風車の輸送車両や据付用車両、受変電機器や計量機器の供給量、電気工事作業員には不足している。
補助金や償却期間の短縮など新規設備投資を支援する施策の導入は、風力の安定的な導入拡大に資するものであり、事業者の工事費用・工期予見性も高まるものと考える。
 

2.2. 陸上風力導入費用の適時把握と基準価格への反映

円安やインフレの進行、建設業界の人出不足や各種建設資材の高騰により、陸上風力の建設費用は、5年前と比べ倍増に近い水準まで急激に上昇している。
一方で再エネ特措法では、直近1年間に運転開始した案件の「設置費用報告」によって風力事業の建設費用を確認し、基準価格算定の根拠としているが、ここで報告されるのは、建設を決定した当時(運転開始の3-4年前)の費用水準であり、つまり費用と基準価格とにはタイムラグが生じてしまっている。
事業者の予見性を向上させるため、最新の費用水準をタイムリーに把握する方法を導入して頂くか、または陸上風力にも価格調整スキームを適用頂くことが必要だと考える。
 

2.3. 防衛・風力発電調整法と盛土規制法対象案件への事業認定失効制度の柔軟な適用

再エネ特措法における法アセス対象風力の運転開始期限は8年で、更に1年が経過しても未稼働の場合、認定が失効する制度が2022年4月に導入された。
事業者は失効期限を意識して各種開発行為を進めているが、2025年に改正盛土規制法と防衛・風力発電調整法による規制が相次いで開始されており(前者の施行時期は都道府県ごとに異なる)、この対応に追加で1-2年程度を要することになったため、認定失効となる事業、あるいは失効の可能性が生じている事業が急増している。
両制度に対応することは国の要請であり、かつ両制度が失効制度のあとに導入されたことを鑑み、認定取得後に両制度が適用された案件に対しては、失効制度の適用を一定期間留保するなど、柔軟な運用を考えて頂きたい。
 

2.4. 電力需要家にとっての予見性確保策の早期導入

再エネ電源の自立化のため、非化石価値が適切に評価される環境整備、CPPAが促進される環境整備が重要であることは、各種委員会で議論頂いているとおりである。 
一方で電力市場の詳細設計が過渡期にあり、今後の制度変更可能性や市場の変動リスク、インバランス負担など環境価値取引の複雑さや不透明さがCPPA普及の障壁となっている。
このような現状を踏まえると、契約ガイドライン・モデル契約書の策定や、短期的な対策として価格変動リスクに対する支援制度の創設など、需要家にとっての予見性を高める施策が必要と考える。

3. 風力発電の導入拡大を推進するための系統関連課題の解決

3.1. 風力のポテンシャルを活かした系統整備

風力発電の導入拡大に向け、風況の良い地域のポテンシャルを最大限に活用した系統整備が不可欠である。現行の広域系統長期方針(マスタープラン)の早期実現に加え、風力のポテンシャルを活かしたローカル系統までを対象に含めた「広域系統長期方針」の策定と、民間投資を促進する新たな系統整備スキームの検討が求められる。また、排他的経済水域(EEZ)への洋上風力展開を見据え、ネットワーク側で洋上変電所までを整備する方式(セントラル方式2.0)や、陸上ハブ変電所の設置により、連系の円滑化と低廉化を図るべきである。系統整備については、これらを含めた将来の全体像を描いたグランドデザインを設定し、それに基づく持続的なPDCA運用を行うことが重要である。


3.2. 出力抑制の低減と系統運用の次世代化ならびに需要誘導

出力抑制を最小化するため、出力抑制対策パッケージの着実な実施と定期的なフォローアップや出力抑制の要因分析もふまえた見直しが必要である。また、送電網の最大限の活用のため、一層リアルタイムに近いところで容量管理するような「日本版コネクト&マネージ」の高度化が必要である。将来の市場主導型混雑管理方式(ゾーン制・ノーダル制)は事業者の負担を大きく左右するため、早期に方向性を提示する必要がある。また、風力のポテンシャル地域への需要(データセンター等)の誘致による地産地消・レジリエンス強化を推進することや、全国統一中央給電指令システムのアップデートや「ナショナルTSO」の設立による運用体制の強化が求められる。


3.3. 系統接続の拡大につながる技術的課題の解決

風力発電設備の接続コスト低減に向け、エリアごとに連系可能な端子数が異なっている現状を整理し、コスト低減と接続の円滑化を図る必要がある。また、技術的課題(電圧変動・慣性力・高調波)に対する関係者の適切な役割分担・費用負担の在り方などを検討し、社会コストの最小化を目指すべきである。また、同時市場の導入を見据え、出力予測データを含む系統情報のリアルタイム公開を推進し、透明性の高い運用を目指す必要がある。さらに、系統解析のための風車のシミュレーションモデルのデータ提供やサイバーセキュリティ対策については、日本独自の基準が輸入障壁とならないよう、国際標準等への準拠や相互認証を積極的に活用すべきである。

4. エネルギー安全保障を踏まえた風力産業基盤再構築

風力発電の導入拡大と長期安定運用を支える技術基盤の確立を目的に、風車本体や輸送・据付、港湾、試験・評価に関する技術開発と制度整備の方向性を整理した。我が国は厳しい自然条件を有し、海外技術の単純導入には限界があるため、日本固有条件を前提とした技術再構築と基盤整備が不可欠である。国が主体的に技術開発や人材育成を推進し、産業基盤の自立化とエネルギー安全保障の強化を図ることが重要である。


4.1. 高設備利用率を実現する国内風車技術の再構築

日本特有の自然条件下で高い設備利用率と信頼性を確保できる国産風車技術の再構築は重要課題である。現状は海外設計への依存が大きく、国内特有の外力条件への最適化が不十分であるため、設計・制御・構造技術の高度化と国産部品の採用を進め、サプライチェーンの強靱化を図る必要がある。あわせて、国主導の技術開発支援や認証制度の柔軟化により、国内産業基盤の確立を目指す。


4.2. 陸上風力輸送据付技術の国産化と自立化

陸上輸送・据付技術は、風車大型化に伴い導入コストや工事期間を左右する重要要素である。我が国では輸送条件が厳しく海外技術への依存が大きいため、特殊輸送機器の国産化を戦略的に支援する必要がある。研究開発や実証、設備投資支援を通じて関連事業者の参入を促すとともに、道路制約を前提とした技術開発や許認可手続の迅速化、人材育成を進め、輸送技術の国内自立化を図る。


4.3. 洋上施工を支える船舶技術の国産化

洋上輸送・据付技術は、洋上風力導入拡大の中核であり、専用船舶の確保が不可欠である。現状は特殊船舶を海外に依存し事業リスクが高いため、JUVやCTVを中心とした国内建造・国産化を推進する必要がある。日本特有の海象条件に対応した船体設計や運用技術を高度化し、あわせて運航体制や人材育成、制度整備を進め、洋上風力向け船舶をエネルギー基盤として確立することが重要である。


4.4. 洋上風力を支える拠点港湾の戦略的強化

拠点港湾は洋上風力の建設・運用を支える基盤であり、整備水準が事業効率やコストに直結する。大型クレーンの常設化や広域ヤードの確保により、部材の組立・積出を効率化するとともに、O&M拠点機能を併せ持つ港湾整備が重要である。複数案件での共同利用を前提に、官民連携による整備・運営を進め、投資効率と持続性の向上を図る必要がある。


4.5. 風力技術高度化を牽引する試験基盤

試験場は風車技術の信頼性確保と国産技術の競争力強化を支える基盤であり、体系的な試験・評価環境の整備が不可欠である。主要構成要素ごとに実機相当条件を再現できる試験設備を整備し、共用化によって開発効率と新規参入を促進する。あわせて、IEC準拠の実証サイトや測定体制を国内に確立し、認証コストとリードタイムの低減を図る。


4.6. 長期運用を見据えた風力O&M技術の高度化

運用・維持管理(O&M)は20~30年に及ぶ長期フェーズであり、人材不足の深刻化を踏まえ、省力化・高度化技術の導入が不可欠である。CMSやAIを活用した状態監視保全の高度化に加え、自然災害対応や延長運転・リパワリングへの対応を強化すべきである。特に洋上・浮体式風力では、低アクセス環境下での遠隔化、大型機器交換技術の確立、データ活用と国産O&M技術基盤の強化を政策的に推進する必要がある。



 

水力発電の脱炭素社会実現への貢献における課題解決に向けた提言の概要

水力委員会

1.水力発電の特性に即した普及拡大支援

2012年に開始したFIT制度により、中小水力発電の新規開発や設備更新が進められてきた。経済性に優れた地点から開発がされるため、至近に開発された地点や現在残された未開発地点は奥地化、小規模化している地点が多く、発電コストが高くなる。水力発電の開発においては、初期投資の負担が大きく回収に長期間を要する水力発電の特徴を踏まえた制度の導入が望まれる。
揚水発電は、再エネ主力電源化に加え2024年度以降、電力需要が増加に転じると予想される中で、電力安定供給に不可欠な電源であるが、揚水発電の有する機能、果たす役割について、十分に価値化されていないため、揚水発電の有する価値が認められる市場制度設計を要望する。

a)水力開発の特徴を考慮したFIT調達・FIP基準価格及び公表期間の設定について
b)新たな補助制度の訴求について
c)長期脱炭素電源オークションの制度見直しについて
d)価値化されていない揚水発電の機能の価値化

2.既設発電所の持続性の確保

既設水力発電所は運転開始から60年を越えるものが約7割を占めている。水力発電所は適切なメンテナンスを施すとともに設備更新を行うことで100年以上にわたり、再生可能エネルギーとして一定の役割を果たすことができる。そのためには、激甚化する自然災害への復旧支援やダムへの堆砂進行を緩和・解消する支援等が必要である。
このような適切な維持・設備更新を行うためには人材の確保・育成が必要不可欠となることから、そのための支援制度が強く望まれる。
これらを実現することによって、エネルギーセキュリティの確保とサプライチェーンの維持に貢献することが期待される。

a)自然災害に対するレジリエンス強化に向けた支援について
b)既存ダムの持続的な活用の観点からの堆砂対策への支援
c)人材育成と技術継承への支援
d)国内水力産業の維持・基盤強化について

3.地域も含めた水力発電の理解醸成

水力発電においては、開発から建設後の事業運営までの長期間にわたり地域との良好な関係が必要である。これまでの水力発電所においては、その関係構築に地域と事業者双方が取り組んできている。
一方で、今後開発が期待される小水力発電所においては、地域にそのポテンシャルがあるにも関わらず、そのポテンシャルを利活用することで地域の脱炭素化や地域活性化につながるとの認識にまで至っていない状況を改善することが望まれる。
そのためには、現行の電源三法交付金などの助成制度の更なる充実と、事業者によるPRのみならず、水力発電が様々な場で役立っていることについて国や河川管理者が、自治体や地域へ理解しやすい形でPRすることが望まれる。

a)電源立地地域対策交付金の交付要件緩和
b)立地地域が水力発電からの恩恵を感じ易くするための取組み
c)地域も積極的に参画できるような水力発電の導入
d)水力発電の社会的価値のPR



 

地熱エネルギーの開発・利用推進に関する提言の概要

地熱エネルギー委員会

提言1 FIP基準価格設定における配慮と卒FIT/FIP後の支援

開発に長期間を要するものの純国産でベースロード電源となる地熱の特性を踏まえ、FIP基準価格の設定では次の事項を要望する。
 ①事業性が失われてしまうことが無いよう開発コストの上昇にも配慮
 ②頻繁に価格改定されない制度設計
また、卸電力市場での売電単価を15円/kWhとするならば、少なくとも設備容量10,000kW程度以下の中小規模の地熱発電所は、卒FIT/FIP後となった時点で好条件の相対取引先との契約ができない限り採算が取れず事業を終了せざるを得ないものも出てくる。地熱発電導入量の維持・向上のため次の事項を要望する。
 ③卒FIT/FIP後の支援制度の新設
 または④FIP制度に代わる長期間にわたる支援制度の新設

提言2 既設地熱発電所への支援

既設地熱発電所において、設備容量に対する発電電力量(設備利用率)が低下しているが、補充井掘削や既存井の改修工事が、発電電力量の回復・増大に直結する効果的かつ即効性のある対策であり、次の事項による国の支援を強く要望する。
 ①補充井掘削・改修工事等への包括的支援措置
また、新規のプロジェクト候補地の増加が見込まれる中、掘削業者の手配は非常に困難な状況になることが懸念されることを踏まえ、次の事項を要望する。
 ②JOGMECと民間事業者の定期的な情報交換の機会を設けるなど、掘削業者を柔軟に確保できる仕組み
一方、効率的な設備への更新による地熱発電電力量の底上げが必要であり、既設発電所の発電電力量の回復・増加に寄与する次の事項を要望する。
 ③蒸気生産設備のダウンサイジング、および、発電設備の最適化ソリューションの導入を促進するため、国による支援・補助制度の創設

提言3 地熱開発リスク低減に向けた支援制度の拡充

地熱フロンティアプロジェクトとして先導的資源量調査の拡大を図っているところであるが、自社開発を進めている事業者に対しては従来からのJOGMECによる地熱発電の資源量調査事業費助成金交付事業があり、次の事項を要望する。
 ①資源量調査事業費助成金交付事業を、地熱開発推進の気運低下に繋がることがないよう継続
 ②助成金交付を受けた調査実施年度の通算年数を基本的に最大11事業年度とする等のより柔軟な対応
また、温泉事業者の理解を得る手段として、次の事項を要望する。
 ③ハード事業(熱水等利活用事業を行うための設計、施設等の整備)の復活
現在、新規事業者が参入する場合、隣接地域に位置する事業者は、自社の操業域の地熱貯留層に対する自衛策が必要となる。そのことから次の事項を要望する。
 ④温泉の保護や秩序ある地熱開発促進を目的とした法的手当て(例えば、地熱鉱区の新設等)の早期制定

提言4 地熱発電特有の系統接続リスクの低減

 資源量評価に時間を要する地熱発電の特性を考慮した次の事項を要望する。
 ①JOGMECによる助成などで認められた目標出力による系統接続枠仮押さえ
 ②その後の資源量評価を経て発電出力が確定した段階での出力増減が認められる制度
大規模な導入拡大を指向するためには、国立・国定公園内等の山間地を含む場所で系統連系を増やすことが必須となることから、次の事項を要望する。
 ③国の主導により電力網を有する業界を交えた議論の場
 ④再エネ適地と系統をつなぐローカル系統の整備計画には国が関与し、情報開示と需要誘導を進めること
 ⑤その議論に基づいた施策を進めるとともに、地熱開発事業者側で行う工事に関して電力系統整備の費用に対する助成金等の新たな支援制度の創設
また、ノンファーム型接続において長期固定電源に位置付けられる地熱発電は、出力制御順にて優遇されているが、次の事項を要望する。
 ⑥ベースロード電源のため出力抑制は避けるべきであることから、ファーム型接続が可能な制度上の措置

提言5 長期脱炭素電源オークションへの参加要件の緩和

地熱電源も脱炭素電源(安定電源)として「長期脱炭素電源オークション」制度の参加対象となったが、参加要件が送電端設備容量10万kW以上であるところ、地熱電源は5.5万kWが現在運用中最大であることを踏まえ、次の事項を要望する。
 ①地熱電源(新設・リプレース)の本制度への参加要件緩和
また、上記の出力要件緩和に合わせ、入札価格上限について対象電源の小規模化による建設費単価上昇や昨今の急激な物価上昇等を考慮の上、次の事項を要望する。
 ②発電事業者が応札可能なレベルへの引き上げ

提言6 地熱発電の導入拡大に係る技術開発の推進

これまでもJOGMEC・NEDO主導の下、地熱発電に関する技術開発が行われてきたが、地熱発電の導入拡大に係る技術開発の推進のため、次の事項を要望する。
 ①次世代型地熱技術実証サイトの早期実現に向けた国主導プロジェクト形成
 ②研究開発における委託研究開発の枠組みの維持

 

バイオマスエネルギーの利活用に関する提言の概要

バイオマス委員会

新エネルギー産業会議バイオマス委員会では、バイオマスエネルギーの利活用において、木質バイオマス資源の有効利用、湿潤系バイオマス資源のバイオガス化推進等の観点より「バイオマスエネルギーの利活用に関する提言」をまとめ、以下の通り提言する。

提言1.木質バイオマスの安定調達と対応強化に向けた提言

ライフサイクルGHG(温室効果ガス)の観点から、海外からの輸入よりも国内バイオマスの活用を図ることが求められているが、その一方でバイオマス発電事業者にとって燃料であるバイオマスの安定確保が課題となっている。国内木質資源の持続的活用と安定調達を進めるには、需給構造の可視化とデジタル化による効率化が不可欠であることから次の2点を提言する。
 

1-1 国内木質資源供給体制の強化と需給バランスの可視化に関する提言

木質バイオマスの安定供給には、資源量そのものの確保に加えて、地域ごとの需給バランスを正確に把握し、供給制約を早期に把握する仕組みの構築が不可欠である。「需給バランスの可視化」「地域課題に応じた供給支援」「発電事業者の調達リスク軽減」を柱として、未利用材供給体制の強化を推進することを提言する。
 

1-2 DX(スマート林業)推進によるサプライチェーン全体の効率化に関する提言

現状のスマート林業の利用範囲は素材生産や森林管理に重点が置かれており、エネルギー利用を目的とした木質バイオマス燃料の安定供給に十分に適用されているとは言い難い。既に展開されているスマート林業の技術を、木質バイオマス燃料の供給効率化に向けて拡大・適用することを提言する。森林資源の生産・加工・流通とエネルギー利用を結びつける新たなデジタル連携を構築することで、木質バイオマスの安定供給体制を強化していくことが重要である。

提言2.FITに依存しないバイオマスエネルギーの持続的利用に向けた提言

バイオマス発電は固定価格買取制度(FIT)による導入拡大の一方で、国民負担の増大や事業コストの高止まりといった課題も顕在化している。今後は、FITに依存しない形で持続的に運営できる事業モデルへの転換が求められる。この観点から次の2点を提言する。
 

2-1 FITに依存しないバイオマス発電事業モデル構築

新規のバイオマス事業者がFITに依存せず採算性を確保するためには、FIP制度、自家消費型電源、企業・自治体との長期電力契約(PPA)、熱電併給(CHP)等、多様な収益源を組み合わせる事業構造が必要である。政府には自家消費モデルの普及支援、地域新電力との長期契約推進、熱利用の事業化支援、FIP制度の活用支援といった施策を進めることを提言する。
また、既存FIT事業者がFIT終了後も事業継続するためには燃料価格の高騰、市場価格の変動、灰処理費の上昇等が課題となる。こうしたコスト要因に加えて、近年の火災事故多発に伴い、バイオマス発電所の保険料が大幅に増加している。ベースロード価値評価の制度化、長期PPA普及促進、供給側効率化支援を強化、保険料低減につなげるバイオマス発電所に関わる事業者、投資家、保険会社、地域住民及び該当自治体等関係者共通の火災事故防止ガイドラインを策定することを提言する。
 

2-2 燃料供給の多様化による調達リスク低減

木質バイオマス発電の燃料供給の安定化のためには林地残材や間伐材に加えて、ミスカンサス、エリアンサス、ソルガム等のエネルギー作物、早生樹及び農業系副産物・竹等の未利用資源の導入・活用を推進し、燃料供給構造を多段化することで、調達リスクを低減することが有効である。地域資源の特性に即した燃料供給多様化の推進と、それを後押しする政策的支援の強化を提言する。
 

提言3.バイオガスの多様な活用と新技術導入の促進に向けた提言

下水汚泥や家畜排せつ物、食品廃棄物等の湿潤系バイオマスから高効率にエネルギーを得られるバイオガスの利活用は、地域内での需給バランスを考慮した資源・エネルギーの地産地消による、地域活性化や災害時のレジリエンス強化に資することが期待されている。
昨今のバイオガス利用を取り巻く環境を踏まえて、バイオガス利用を促進するために、次の3点を提言する。
 

3-1 バイオガスの発電以外での用途拡大に関する提言

バイオガスは熱の脱炭素化の有力な手段であり、都市ガス等のガス体エネルギーとして利用可能であることから、発電以外の幅広い用途への転用を支援することを提言する。また地域特性や需要に応じた、非発電用途での利活用の選択肢拡大により、エネルギーの地産地消と資源有効利用を図ることが可能である。
 

3-2 地域資源の活用促進に関する提言

畜産廃棄物等の地域資源は、バイオガス化しその後出てくる発酵残渣も肥料利用することで、地域資源型のエネルギー資源として活用可能であることから、利用促進することを提言する。地域資源は分散しており、利用を促進するためには、複数種のバイオマスの混合利用を、地域資源活用の枠組みの中で整理して検討することが必要である。そして発酵残渣の肥料利用率を向上させることが重要である。
 

3-3 新技術の実装と評価に関する提言

バイオガス中のメタンや二酸化炭素を、マテリアルや燃料の原料として利用することで、バイオガスを高付加価値化する技術の開発や導入支援を提言する。一方で新しい技術は、コスト競争力やLCAの観点から、実用性評価を行うことが重要であり、効果が見込める技術に対して重点的に支援を行う必要がある。

 

廃棄物発電システムの導入促進に関する提言の概要

廃棄物発電委員会

提言1:「再生可能エネルギー電源である廃棄物発電の活用をさらに推進する制度強化を」

ノンファーム型接続では、送電容量制約または需給バランス制約による出力制御の実施が前提となる。しかし、出力制御順の中で廃棄物発電の位置付けが明確にされていないため、地方自治体によって出力制御順に差異があるなど、混乱が生じている。
また、一般廃棄物処理施設の新たな施設建設にあたり、地方自治体がFIP制度の利用を申請したが、認定されない事例が生じている。これにより、将来の投資回収の予見性の大幅な低下を強いられている。
これらを踏まえ、廃棄物発電の再生可能エネルギーとしての価値を適切に活用し、地方自治体が予見性を持って事業を進められるよう、次の通り提言する。

  1. 出力制御における廃棄物発電の位置付けの明確化を出力制御における廃棄物発電の位置付けについて、再給電方式(一定の順序)においては、最後尾の「平常時において混雑が発生する場合の出力抑制を前提に連系等を行った地域資源バイオマス電源(出力制御困難なもの)」であること及び優先給電ルールにおいては対象外であることを明確化すること。また、出力制御の対象範囲を次位へ拡大する場合の考え方についても明示すること。
  2. 関係機関に対する更なる周知徹底を
    送電容量制約及び需給バランス制約による出力制御において、廃棄物発電の位置付けを、特に地方自治体及び一般送配電事業者等の関係機関の実務者に情報が提供されるよう、更なる周知徹底をすること。
  3. 廃棄物発電における適切なFIT/FIP制度利用申請の確実な認定を
    同一場所における一般廃棄物処理施設の建替え計画に対しては、新設とみなし、FIT/FIP制度の利用を認定すること。新設ではなくリプレースとみなす場合には、廃棄物発電においても適切なリプレース買取価格区分を設定した上で、FIT/FIP制度の利用を認定すること。また、卒FIT/FIP対策も含めた中長期的な視点から、廃棄物発電の運転継続及び導入拡大について、切れ目のない支援の枠組みを構築すること。

提言2:「廃棄物発電施設における設備利用率向上と地域の廃棄物の混合処理推進を」

廃棄物発電施設は設備利用率が70%程度と低く、十分に活用されていない。その原因は、処理される一般廃棄物の量が設計能力に対して少ないこと及び「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、廃棄物処理法という)」により設備能力の活用を制限されることにある。この余力を活用することにより、総発電電力量を約5割増大させることが可能であり、年間292万tのCO2削減に相当する。
この状況を踏まえて、廃棄物の搬入及び発電に余力のある廃棄物発電施設の能力を十分に発揮させ、廃棄物発電電力量の上積みを図るため、次の通り提言する。

  1. 処理量規制の弾力的運用を
    ボイラを最大連続蒸発量で管理する廃棄物発電施設においては、廃棄物処理法に基づく処理量の基準を弾力的に運用する若しくは処理能力変更手続きを簡素化する等により、廃棄物発電施設の余力の活用を推進すること。
  2. 他のインフラの排出物や未利用廃棄物系バイオマス等の活用を
    地域のエネルギーセンターとして、地域特性に応じて、他のインフラ(下水処理施設、し尿処理施設等)の排出物の処理及び農作物残渣や林地残材等の廃棄物系バイオマスの有効利用に廃棄物発電施設の余力の活用を推進すること。また、廃棄物処理法で規定する一般廃棄物と産業廃棄物の混合積載及び処理の解釈を明確化した環境省からの通知の主旨を改めて関係先へ周知すること。
  3. 広域処理・施設集約化の継続的な推進を
    都道府県の枠を超えた地域ブロックの協議会を活用し、熱回収設備の充実した大規模廃棄物発電施設に処理を集約するための協議を行うなど、都道府県の枠にとどまらない広域処理・施設集約化を推進し、施設の余力活用とともに熱利用を促進すること。

提言3:「廃棄物処理施設のエネルギーセンターとしの位置づけの促進と災害時の弾力的運用の推進を」

廃棄物発電施設は地域活用電源であるため、地域の需要に合わせたエネルギーの有効利用が必要である。また、廃棄物発電施設は自然災害によって生じる災害廃棄物の処理や防災拠点としての機能にも期待が大きい。
地域での様々な期待に応えるための方策について、次の通り提言する。

  1. 廃棄物処理施設をエネルギーセンターとして位置付けた都市計画の推進を
    発電又は余熱利用が可能な廃棄物処理施設をエネルギーセンターとして位置付けた計画を実現させるためには都市計画の中で明確に位置付ける必要がある。
    熱供給や電力の効率的な利活用を可能としつつ、災害に対しての高度な防災機能を有する廃棄物処理施設を、都市計画におけるエネルギーセンターとして位置付けるよう政策誘導を願うとともに、そのような取り組みを導入する施設の建設については積極的に優遇支援を行うこと。
  2. 廃棄物発電施設による電力活用の推進を
    地域で発生した電力のより効率良い利活用や先進的な技術導入の推進には、支援制度による更なる促進が必要である。
    エネルギーセンターとしてその機能を十分に発揮し、自己託送制度の柔軟な運用を可能とする制度の明確化と導入条件の具体化、簡素化を行うこと。
    EVパッカー車のような先進的な取り組みを導入しつつ、高度な防災機能を有する廃棄物処理施設をエネルギーセンターとして位置付けるよう政策誘導を願うとともに、そのような取り組みを導入する施設の建設については積極的に優遇支援を行うこと。
  3. 災害時の廃棄物発電施設の弾力的運用の推進を
    災害時に施設を長期間自立運転して地域の人々の生活を支えるために、環境管理基準値を国の基準まで緩めて運転することが可能になるよう、国として災害対策計画の内容に盛り込むことを指導する具体的な通知を出すなどの後押しをすること。
    災害時の近隣の災害廃棄物の処理に協力するために、提言2に挙げた処理量規制の弾力的運用、処理量基準の軽微変更の手続きの簡素化を行うこと。
 

地域新エネルギーの普及促進に関する提言の概要

地域エネルギー委員会

提言1.脱炭素ドミノ実現に向けて事業者が活用しやすい支援の強化・継続

脱炭素先行地域の選定が進む一方、自治体では依然として「何から着手すべきか」に迷う声が多く、地域の取組を動かすには地元中小事業者を含む事業者の参画が不可欠である。脱炭素ドミノの実現には、地域課題の解決や産業活性化につながる取組を継続的に支援し、先行地域のモデルや好事例を新規性にかかわらず水平展開できるよう、事業者にとって使いやすい支援の強化が求められる。

【具体的な施策の例】
  1. 脱炭素ドミノの実現に向けた支援の強化
    先行地域のモデルや好事例の水平展開を重視し、地域での実装を後押しする支援を強化する。
  2. 地域中小事業者が参画しやすい環境整備・支援
    中小事業者の取組をはじめ、大手企業との連携や再エネ設備の共同利用等の一体的な事業形成や、自治体・事業者をつなぐマッチング・伴走、事業計画・FSなどへの支援を強化するとともに、地域での取組推進に向けて再エネゾーニングやデータ連携を強化する。
  3. 事業開始後の追加的取組への柔軟な支援
    広域的なエネルギー融通など、事業開始後に新たな効果が見込まれる取組を柔軟に支援する。
  4. 先進技術・GX関連設備の実証と実装支援
    先進的な設備・システムの実証だけでなく、社会実装までを見据えた長期的支援を強化する。
  5. 多様な取組・価値提供に対する評価・支援
    地域との調整や住民理解の促進、レジリエンス強化など、地域共生と事業基盤強化につながる取組を評価し支援する。

提言2.企業活動による地域プロジェクトや企業ノウハウを地域貢献につなげるための
    受け皿育成の推進と支援

再生可能エネルギーの普及や地域活性化に向けた国の支援策は多いものの、企業が事業性を重視してしまうと、地域に根差した展開やノウハウ承継がなされずにプロジェクトが終了してしまうことになる。成功事例の知見が地域に蓄積され、地元で活用・継承されれば、自立的な横展開が進むと考え、そのための地域に残る受け皿を育成し、それを支援することを提言する。
企業は実証や実装を通じて地域に貢献する意義を感じているが、プロジェクト終了後に投資や人材派遣が途切れ、地域の持続的発展につながらない例がみられる。企業側には地方に人材を派遣しにくい環境として、若年層の地方勤務忌避など近年の働き方に対する変化もあろう。結果として、地域においては資金だけでなく、リーダーシップを担う人材やノウハウが不足し、特にインフラやDXを担う技術人材の不足が深刻である。
一方で、企業の先進的取組が未利用資源の活用や地域経済への好循環を生んだ事例、企業発祥地での地域貢献活動が文化・産業に波及した事例が確認できた。また、地方大学が脱炭素や地域課題解決の中心として機能する好事例や企業OBが地域に戻り活躍している例も増えており、大学や地域に残る人材を地域展開の推進役として位置付けることへの期待が高まっている。しかし、企業と大学の事業サイクルの違いや、専門性を超えて産学連携を担う人材が不足しているなど、連携を阻む課題も存在する。
こうした状況を踏まえ、企業ノウハウを地域に承継し、地域における担い手として、大学を始めとする組織を位置付け、支援する環境整備が必要である。大学には地域資源の評価、産業との連携、人材育成、実証フィールドの提供など、多様な役割を期待したい。

【具体的な施策の例】
  1. 産学連携専門人材の配置・育成
    産学連携コーディネーターの配置義務化、企業側の担当者資格制度、専門人材育成プログラムの整備。
  2. 長期的支援を可能にする基金の設立
    基礎研究から実用化までを一貫して支援し、企業の長期投資判断を後押しする仕組みを構築する。
  3. 実証実験特区制度の創設
    地域特性に応じた技術実証や多角的事業モデル構築を可能にする規制緩和と、大学による調査・人材育成事業への支援拡充。
  4. 事業化支援の強化
    地域新電力設立時の補助制度や、企業の技術移転・ライセンス供与を促進する制度の整備。
  5. 大学発スタートアップ支援の重点化
    再エネ技術を活用したスタートアップ支援、専門家によるメンター制度、企業とのマッチング基盤の強化。
  6. 専門知識を有し、行政と大学をつなぐ中間組織への支援
    エネルギー分野の専門的知見を持つ中間組織が、産学連携を結びつける際に必要となる活動を支援する制度の充実。

提言3.市民レベルでの再エネ拡大意識の醸成と将来の再エネ普及拡大に向けた
    行動変容を促す環境整備と包括的支援

市民レベルでの再エネ普及を阻む要因には、知識不足、経済的負担、情報アクセスの課題、心理的抵抗、制度理解の不足などがあり、これらを克服するためには複数の対策を組み合わせた総合的な取組が必要である。まずは国や自治体の取組や支援制度の認知度を高め、関心層を広げることが重要である。その上で、消費者が安心して再エネ導入を検討できるよう、公的に認定された事業者が分かる仕組みを整え、経済的メリットに加えて災害時の自立電源としての価値を伝えることが効果的である。
一方で、市民の自発的行動だけでは普及拡大の推進力として不十分であり、東京都の新築住宅への太陽光設置義務化のような強制力のある施策と支援を組み合わせることも必要である。限られた財源を効果的に活用するため、子育て世帯など特定層に重点を置いた支援の強化も有効である。また、立地条件などから再エネ設備の導入が難しい場合には、環境価値の購入など間接的な参加方法を提示し、再エネへの関与の幅を広げることも重要である。
さらに、市民レベルでの再エネ意識の醸成は長期的な取組が不可欠であり、学校教育や生涯学習、家庭内での情報共有など、日常的に再エネを意識できる環境づくりを進める必要がある。

【具体的な施策の例】
  1. 情報提供による認知度向上
    国や自治体の取組や支援制度の周知、推し活×デコ活の横展開、事業者の知識向上支援、災害時の自立電源としての価値訴求。
  2. 経済的インセンティブの強化
    子育て世帯向け支援、集合住宅向け支援、個人向け「ふるさと融資」制度の創設。
  3. 強制力ある施策と国の支援
    太陽光設置義務化の横展開、蓄電池・EVなど再エネ利用率向上に寄与する機器への支援強化。
  4. 安心して導入できる環境整備
    事業者認定制度の横展開と、認定を導入支援の要件化。
  5. 多様な関与方法の提示
    初期費用ゼロの第三者所有モデルの活用支援、再エネ電力プランの周知強化。
  6. 長期的な意識醸成
    学校環境教育の横展開、若年層参加イベントの企画、企業による環境教育の強化、日常的な省エネ行動の定着。

※この概要は下記PDFからもご覧頂けます

新エネルギーの導入促進に関する提言[令和7年度]概要